第14話:買い物
ある日の放課後、いつもどおり佐伯さんと一緒に調理室で料理部の活動として夕食を作っていた。
「先輩、今日は何を作るんですか?」
「今日はグラタンだな。チーズ多めなのが好きなんだよ」
「いいですねー。そうだ週末に買い物に付き合ってくれませんか?」
「いいけど、何を買うの?」
「グラタンとか熱いお皿を持つためのミトンが欲しいなって」
「ミトン?あぁ鍋つかみのことね」
「ミトンです。可愛いのが欲しいんです」
「そしたら、近くのショッピングモールよりも、少し遠くの街まで行ったほうがいいかな?その方が店も多そうだし」
「はい。買い物楽しみですね」
佐伯さんは女の子だけあって買い物が好きみたいだ。でも、包丁とかフライパンなら俺のアドバイスがあったほうがいい物が買えるというのがあるかもしれないけど、ミトンを買うなら俺は不要では?と不思議に思うのであった。
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週末になって佐伯さんとミトンを買いに行く日になった。駅で待ち合わせということになっているが、確か男は少し早めに行って待つのがマナーだったはず。10分前ぐらいに待ち合わせ場所に行ってみると、二人の男にナンパされている女の子がいた。誰だろう?と思ってみてみると、ナンパされているのは待ち合わせしている佐伯さんだった。学校でも可愛い女の子だなと思っていたけど、淡い青いワンピースを着ていて私服だとさらに可愛さが増しているような気がする。こんなに可愛かったらナンパする男の気持ちも少しはわかる気がするな。
「すいません、その女の子は俺と待ち合わせしているので、そこまでにしてもらえますか?」
「なんだよ、お前。邪魔するなよ」
ナンパ二人組は引き下がるどころか反論してきた。宮沢さんのときといい、すんなり引き下がってもらえない。おかしいな?異世界では職業が交渉人だったので簡単に対処できていたのだが、この世界に戻ってきてからいくらなんでもダメすぎやしないだろうか?職業がクリアされたときに、間違ってマイナスレベルまで交渉力が下がっていやしないか?
一人が胸ぐらを掴んできたので、そのままその手をひねりながら足を払い、腕を締め上げる。
「ふざけんなてめえ」
もう一人が殴りかかってきた。殴りかかってきた腕を振り払って喉元を手でつかみ、そのまま持ち上げる。
「片手で持ち上げてる?何なんだお前」
「別に争うつもりはないんだよ。お前らも可愛い女の子にちょっと声をかけただけなんだろ。ここまでで引いてくれないかな?」
「わかった。わかったよ」
二人を解放すると、そのまま走り去っていった。
「佐伯さん遅くなってごめんね。大丈夫?」
「先輩、片手で人を持ち上げるって凄くないですか?」
「いや、あいつ見た目よりも軽かったんだよ。それよりも青いワンピース、とても可愛いよ」
「先輩、話題を無理やり変えようとしていません?」
「そんなことないよ!制服の佐伯さんも可愛いけど、私服の佐伯さんはさらに可愛いなって本当に思ったんだよ」
「なんか、褒め言葉が定番ですけど、まぁいいです」
なんか異世界での討伐パーティの魔術師ミレイとのやり取りを思い出すな。ミレイはファッションにこだわるタイプで、着ているローブは同じでも日によって着こなしを変えていた。俺がそのことに気づかないと、ちゃんと褒めろと言ってきていた。そして気づいて褒めたとしても、同じような褒め方ばかりだったためか、もっと違う表現で褒めろとまで言われた。女性を褒めるというのは実に難しい。
「先輩。早く行きましょう」
佐伯さんは俺の手を引いて店に向かった。
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