第13話:幼馴染との勉強会
中間テストが終わって数日後の朝、いつもどおり隣の幼馴染と駅に向かう。
「おはよう井上さん」
「ねぇ夏樹。学年3位って噂が流れてきたんだけど本当なの?」
昔のような成績上位者を廊下に張り出すようなことはやっていなかったが、クラスメイトの間で成績を見せ合うこともあってか上位一桁が誰なのかは噂で流れることが多かった。特に俺は一年生のときには上位になるようなことが一度もなかったのに今回3位になったことで話題になっているようだ。
「高校二年生デビューでかなり勉強したからね」
「体格だけじゃなく成績も変わりすぎじゃない?春休みに特訓を受けていたと言っていたけど、どんな訓練を受けてきたらそうなるのよ?」
それは異世界で数年も特訓すればここまで変われるんですよ、なんてことは言えないので話題をそらすことにする。
「それよりも井上さんはどうだったの、中間テスト?」
「うっ、それは...赤点は回避したわよ」
「総合で何位ぐらい?」
「えーと。その。216位。まだ下に24人いるわ」
「24人って、赤点ギリギリじゃないの?大丈夫なの?親から何か言われてない?」
「えーと、期末で成績が上がらなかったら塾に通えとか?」
「そうなったら、バスケット部との両立は大変そうだね」
「そうなのよ。夏樹、なんとかならないかな?」
「なんとかもなにも、勉強すればいいだけでしょ?」
「そんなこといっても、どうやって勉強したらいいのかわからないのよ」
「仕方ないなぁ、そしたら家に帰ったら勉強を教えるよ。長い時間は無理だけど」
「助かる~。夏樹ありがとう」
「お礼は成績があがったらでいいよ」
こうして井上さんと帰ってから勉強会をすることが決まったのだった。
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井上さんとの勉強会が決まってからの数日後、夕食が終わったぐらいの時間に隣の家に行くことにする。親への連絡など、準備が必要だったので数日後からの開始となったのだ。
「こんばんは。お久しぶりです。最上夏樹です」
「あらまぁ、久しぶりね。夏樹君。美桜ったらバスケットばかりで勉強がすっかりおろそかになっちゃって、ごめんなさいね」
玄関では井上さんの母親が出迎えてくれた。子供の頃は隣同士ということもあってお互いの家で遊ぶことも多かった。中学ぐらいから、一緒に遊ぶこともなくなり、井上さんの両親と会うことも少なくなっていた。
「ちょっとお母さん、余計なことはいいから。夏樹、私の部屋に行くよ」
「それではおじゃましますね。30分ぐらいで終わると思いますから」
「もっと居てくれてもいいのよ。いっそのこと昔のように泊まっていく?」
「なっ!何を言っているのかな母さんは。もう夏樹、早くいくよ」
恐るべき爆弾を投下した井上さんの母親はニコニコとしていた。ここでそんな冗談を言えるところが凄い。さすが母親といったところだろうか?
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本来なら高校生の女の子の部屋に入るというのは、ドキドキするシチュエーションなんだが、小学生ぐらいまでとはいえ何度も行き来していた部屋なので、そこまで緊張するということはなかった。それでも当たり前だが小学生のときとは部屋の様子が変わっていた。全体的に可愛らしい物が増えている。といっても、あまりジロジロと見てしまうとキモい奴と思われてしまうので、すぐに本題に入ろう。
「それじゃ、勉強を始めるよ」
「えー。来てすぐに勉強するの?」
「あのなぁ何のために来ていると思っているんだよ。井上さんだって勉強はさっさと終わらせて、テレビとか見たいんでしょ」
「それはそうだけど」
「やるときはやるの。はいこれ」
数枚の紙を手渡す。
「なにこれ?」
「まずは数学の問題をいくつか作ってきたから答えて。どこまで理解できているのか確認するよ」
「えー。いきなりのテスト?」
「現状を把握しないと、対策も練られないだろ」
「夏樹、スパルタすぎー」
「バスケット部だってスパルタでしょ。どんどんやっていくよ」
「鬼!」
これでも大学時代には塾のバイトをしたこともあるのだ。有名塾講師の足元にも及ばないけど、一応塾での教え方は覚えている。井上さんには悪いけど、期末テストまでに確実に成績を上げるためにも、ちょっと厳しく進めていこう。
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