七話:クラスの王
朝、俺は準備を完了させ、部屋から出ようとする。なぜだ、誰かに見られている気がする。俺は自分の部屋を見渡し、何もないことを確認して部屋を出る。
翼の家の屋根の上、そこに一人の男が立っていた。口に煙草を加え、息を吐く。白く、特有の匂いを放つ息だ。
「相当感のいいガキがいるな」
男は耳元にケータイを当てながら喋る。その目線は学校へ歩く翼を見ていた。だが目に光はなく、見つめる目は虚ろだった。
「殺しておくか?」
ケータイから返事が帰ってくる。
「いや、あいつは人間だからな、殺さなくていい」
「そうか……」
最低限の会話のあと、男は電話をきり、その場をあとにした。
登校中、俺は何者かに背中をツンツンされた。だいたい誰だか分かっているが無視だ。
ツンツンからトントンに変わり、あげくの果てには遂に俺の背中をぶっ叩いた。
さすがにこの心優しい翼さんでもブチギレだ。俺は後を向く。
そこには俺の背中を必死にツンツンするレヴェラの姿が……。おいおい、レヴェラかよ、てっきりイブかと思ってたのに。
「翼くんお久しぶり!」
「昨日ぶりだけどな?」
俺は冷静に突っ込む。改めて見ると思ったより美人だ。サラサラの髪、ゾンビとは思えない綺麗な肌。
「な~に見てんの?」
どうやら俺はいつの間にか見惚れていたらしい。「なんでもない」そう言い前を向く。校舎が近づいてくる。
俺は今日も、この化け物ばかりのクラスで暮らすのか……。
教室にはいると、化け物どもは騒がしくしゃべっていた。俺の席の隣にいるイブは分厚い本を読んでいる。
少し時間が経ち、島岡先生が入ってくると、アイツラは落ち着き、一人、また一人と教室に戻っていく。
「さて!今日は、学級委員を決めるよ!」
スンッと音1つ立たなくなった教室に、島岡先生は気まずくなったのか、何も喋らなくなった。
ダンッ!という衝撃音が響く。その音のした方向を見ると、一人の男が机に足を組んだ状態で置いている。
赤く光るライオンのような鋭い目、輝くような赤い髪、まさに熱血を擬人化したと言ってもいいほどだ。
「誰もなる気がないのだろ?リーダーに!なら、俺様がなってやろう!!」
その男はそう言うと、先生の前まで行き、教卓に手を付く。先生と睨み合うように見つめ合う。
おいおい、目の前でボーイズラブとかやめてくれよ?
2人が睨み合っていると、一人の生徒が手を挙げた。イブだ。
「私は、鈴井翼を推薦します」
お前ガチでふざけるなよ。俺は頭を抱えた。




