六話:俺と親
疲れている。その言葉が、頭の中を支配するように木霊する。
気づくと、俺はすでに家の前にいた。夕日はもうすぐ沈み切る。少しオレンジがかったくらい空、春にしては少し暑い風が頬をなでる。
俺はドアノブをもち、ドアを開ける。
「翼おかえり。帰るの以外に遅かったわね」
俺の目の前にいるのは母の優海だ。ニッコリと笑うその笑顔が俺の胸を締め付けるようだった。
「あぁ……ごめん、今日色々あってさ、なんたって俺の入った……」
言葉がつっかえた。言ったところで信じてもらえるか?俺は体が理解を拒もうとしても、心ではわかってる。アイツラは人間じゃない、化け物だ。だが、見てもない親に、これを言ったところで信じてもらえるか?
「俺の入ろうとした部活が満員でさぁ〜」
慌てて話を切り替えた。母は何かを感じ取ったのか俺に近寄り俺を抱きしめた。
「ちょ、やめてくれよ。俺は小学生とかじゃないんだぞ?」
「私からしたらあんたはまだ子供よ」
母さんの人肌の温もりが俺を包む。また胸が締め付けられた。俺は親に隠し事をしてる。いじめられた時もそうだった。親に迷惑は掛けたくない。俺は母を下がらせ、自分の部屋がある2階へ登った。
部屋の扉を空けて部屋に入る。正面の開いた窓から、冷たい風が俺の前を通り過ぎた。
「あれ?俺窓開けてたっけ?」
俺は窓を閉め、隣にあるベットに倒れ込むように座った。俺の入った高校には、ロボットやゾンビのような化け物がいる。でも信じたくない。
やっと、やっと平穏に過ごせると思ったのに、化け物だらけのクラスに入れられた。俺が唯一の人間だ?ふざけるなよ。
自分の不幸体質が憎たらしいぜ。
それにしても、部屋は引きこもってた頃とあまり変わってないな。俺は朝に開いたままだったポテチの袋から1枚ポテチを取りかじる。案の定しなっている。サクサクとした感覚はなく、どことなく味も薄い気がする。
何だかものすごく眠い。今日は色々あったからな。疲れたんだ。
俺は、あの化け物どものクラスで生きていけるのか?そんな事を思いながら、俺の瞼はゆっくりと落ちていき、次第に俺は眠りに落ちた。
目が覚めた。慌てて起きると、空は真っ暗、時間は20時を回っていた。俺が帰ってきたのが17:30ほどだから。約3時間も寝たのか……。
さてと、俺はベットから降り、部屋のドアノブをつかむ。明日こそ平穏に暮らすためにも、体力はだいじだろう。などと適当な理由をつけて俺は下の階に降りていった。
こうして、俺の、平穏という言葉とは程遠い一日が終わった。




