四話:人気者のゾンビ
さて、俺とイブは食事を終えて廊下を歩いていたのだが、ここでイブが俺に聞いてきた。
「さっきのご飯はおいしかったか?」
「そりゃあ、うまかったさ」
食べ過ぎで少し膨れた腹をさすりながら答える。イブは真顔で俺の後をついてきていた。するとまたイブが聞いてきた。
「おいしいってどんな感情?」
おいしいってどんな感情?か、言われてみればあまり考えたことがないな。いや、考えることがないのが普通なんだ。
俺はおいしいとはどんな感情なのか、について考えてみることにした。
まず人は食事をすると、大体の食べ物は美味しいと感じる。この美味しい、これは喜怒哀楽のどれに位置するのか?俺が思うのは、喜だ。なぜ喜なのか、まず喜怒哀楽で喜は文字の通り喜びを示す。そして人間の3大欲求に食欲がある。故に欲を満たせ、美味しいと感じる。人はこれに喜びを示す。イコール、美味しいとは喜こびということになる。というわけだ。
で?なんで俺はこんなこと考えているんだ。もしかしたら、イブに脳が侵食されているのかもしれない。もしかしたら何か月かあとに俺の感情が消滅するかもしれん。怖っ。
俺はイブに美味しいがどういう感情か教え歩き出した。
そんな事を考えている間に、俺とイブは自分達の教室につく。ドアを開けると、何やら教室の真ん中に人が集まっているではないか。何だ何だ?集まっていたら気になるだろ。
俺は集まる生徒たちを少し押しのけ前に出る。真ん中には一人の女の子が立っていた。女の子はどうやらマジックをしているらしい。
女の子が左手で左目を隠す。手を離すと、あら不思議、左目がなくなっているではありませんか。血も全く出てないが、目がなくなった場所には奥行きを感じた。
「はい皆さーん!ちゅうもーく!!ここからが、レヴェラ・ペイラの十八番だよ!」
赤い髪をした女の子は響くほど大きな声でそう言う。すると、急に女の子が口をモゴモゴしだす。
次の瞬間だった。「べぇ」そんな声と共に、口を空けたレヴェラの舌にはなんと目ん玉が乗っていたのだ。数人が悲鳴をあげる。俺も悲鳴をあげそうになった。こんなマジックにビビるとかおこちゃまだな。所詮マジックはマジック、裏だったり種がある。目が取れるとかありえないんだよ。
次に、レヴェラはその目ん玉を手に取り、左目に戻す。左目はぐるぐると動き元通りになった。
「彼女はレヴェラ・ペイラ、ゾンビ」
いつの間にか隣にいたイブが耳元で喋る。思わず変な声を上げてしまった。
「おやおや、お客さん!急に声だすと困るよ、ビックリして腕取れちゃったよ」
目の前にレヴェラが現れる。腕に目をやると右腕が取れて、取れた右腕を左手が持っている。腕が、取れてる。これもマジックか?それにしては肉も骨も見えるし。しかしレヴェラは腕を取り付けながら。
「あっ!あなた!人間の!私はゾンビのレヴェラ・ペイラ!よろしくぅ!」
と、元気な声でペイラは左手を出す。俺は恐る恐るペイラの手を握り握手をした。
そしてカポッと言う軽い音と同時に左手が取れた。
「お客さん、困るって」
困るのはこっちだよ。




