1話:新たな始まり
ごきげんよう諸君、俺の名前は鈴井翼。不幸体質ってだけの普通の男子高校生だ。
と言っても、俺が入ってるのは普通の人間とは違う者たちがいるクラス異形クラスだが。
最初の1週間から早3ヶ月。月は遂に7月に突入し、俺は今日も半袖を着て、太陽によって熱せられたアスファルトの上を歩きながら登校している。
隣にはいつものようにレヴェラがいる。最近では毎日のように話しながら登校するようになった。
そのおかげかオレとレヴェラはだんだんと仲が良くなり、今やオンラインゲームで一緒に遊ぶようにもなった。
なんとレヴェラはゲームをほぼやったことがなく、とても下手だったので、俺が師匠となりレヴェラへゲーム教えることに……。と言っても2週間もすれば、レヴェラに才能があったのかはわからんが俺は越された。
俺が引きこもってた時代に鍛えたゲーム力はなんだったのだ。畜生め。
「おーい、翼くん!レヴェラさーん!!」
後から元気な青年の声が聞こえるじゃあないか、誰だか予想はつくがな。
俺は後を振り向き、自分の名前を呼んだんだ声の主が誰か確かめる。その正体は案の定、木下勇気だった。
勇気は俺に追いつくと肩を掴み、ゼェゼェと息を一度整えて一緒に歩き出した。
勇気は今まで車で送っていってもらっていたらしいが、最近自分で登校するようになり、レヴェラやオレと一緒に登校している。
「翼くん。最近何だかうれしそうだねぇ」
レヴェラが俺の顔を覗き込みニタニタと笑っている。レヴェラの顔をずっと見ていればいつ俺の理性が壊れるか分からんので、俺は少し目を逸らしながらレヴェラの質問に答えた。
「いやーそろそろ好きなゲームシリーズの新作が出るからさ、それが楽しみなんだよ」
レヴェラはそれを聞くと、納得したらしく俺にゲームの名前を聞いていた。
こいつはゲームに一度触れてからクリアするたびに俺に面白いゲームを聞いてくるようになった。全くこっちもそろそろネタ切れだ。
と、そんな事を話しているうちに俺達は正門の前まで来ていた。
正門の前にはイブが立っていた。イブはこちらに手を小さく手を振っている。
ここの三ヶ月で進展は何もなかった、写真のことについても、時々二人で集まってはいるが全くもって情報はなし。勝久に聞こうと思ったがどこにいるか分からないし、もしこの写真がヤバいものだったら殺されるかもしれん。ひゅ〜背筋がヒヤッとするぜ。
そういえば三ヶ月の間にイブに変化があった、顔に小さいが表情が出るようになっていた。そして……よく笑うようになった。
面白い、や楽しいと言った感情を手に入れられたらしい。
教室を開けるといつものどんちゃん騒ぎ、クラス中が毎日喋っていて話題が尽きないのか、というほどに話し合っている。
そして教卓には一人の男が座って笑っている。そうメルゼだ。メルゼは俺が教室へ入っていきたのに気づいたのか、俺のほうへ近づいてきた。おいおいなんだなんだ、もしかして何かしたか?
「貴様、最近ゲームとやらをやっているらしいな、俺も人間という名の下等生物が生み出したものを見定めてやろうと思ってな。なんだ……機体とタイトル?を教えろ」
なんだこいつは普通に人に物事を頼むことすらできないのか?。
「わかったよ、なんか紙に書いとくから帰りに渡す」
そう言うとメルゼはまるで嘲笑うかのような笑みを浮かべ、また教卓へ座った。
「メルゼくん、素直じゃないね」
「ツンデレってやつなんだろ」
全く……今日も忙しい一日が始まりそうだ。
と言っても授業風景はまさに普通そのもの何も起きない。誰かが暴れるわけでもないし、誰かが火を吹くわけでもない。
だが今日は少しいつもと違うところがあった。
「さて、今日はもうすぐある体育祭について話すぞ」
そう言うと島岡先生は黒板に大きく体育祭の文字を書いた。
「さて翼くんは異形クラスがどうやって体育祭をするか知らないだろう?」
俺は突然投げかけられた質問に答えられず。小さく「え?まぁ……」としかいえなかった。
俺の返事が聞こえたのか聞こえてないのか知らないが先生は話を続けることにしたらしい。
島岡先生は教卓に一つの首輪のようなものを置いた。
「これは異形の力を抑え、そのもの本来の身体能力へ戻す効果がある。これがついているときは特殊な異形の力は使えないってことだ」
ならそれをいつもメルゼにつけていてくれ。
「先生、その首輪をつけると言うことは、普通のクラスと一緒に体育祭に参加するんですか?」
先生はいい質問だと言いたげな笑顔で、首を縦に振った。
「そのとおりだ。で、これから体育祭の競技について教える。今回異形クラスが担当する競技は、台風の目だ」
何かと期待したが全く知らない競技だった。




