二十三話:週最後の日
早朝、オレは車のマフラー音で目が覚た。轟音が家の前で響いている。なんだと窓を開け外を確かめると、赤いスポーツカーのような車があるではないか。
一体誰だよ、そう思っていると、ドアを開け一人の男が現れる、逆立つ髪、見下すような目線。
メルゼだ。朝から合うとかオレに死ねと言ってるようなものだぞ。
「おい!!人間!さっさと準備しろ!乗せてやる」
やつはニタニタと笑顔で喋りかける。オレは嫌々準備をして外にでた。親にはクラスメイトが外にいることを伝えたので多分問題はない。
やつは俺がでたことを確認すると後の席へ乗せた。なんとそこにはレヴェラが座っているではないか!なんなら助手席にはイブまで……。待てイブ?
「お前……無事だったのか」
俺がイブに喋りかけるとイブはこちらも見ずにオレの質問に答える。
「昨日は少し家で調べ物」
写真のことだろうか。だがここで喋ればレヴェラやメルゼにバレる可能性がある。特にメルゼにはバレたくないな。なくとなく面倒くさくなりそうだ。
少ししてメルゼが入ってくる。だがやつは運転席に座ったのだ。
「おいお前まだ高校生だろ!免許は……」
俺が言い終わる前にメルゼは免許を取り出し、オレに見せた。
おいおい嘘だろ、こいつゴールド免許かよ。
「オレは神の家系だからな。異形界でもトップの存在、オレの前に人の法律など無意味、この車も免許自体小学生の頃には取っている」
小学生って、それにしても、こいつは家系が家系だからって免許すら好き勝手にできるのか……。
「異形憲法は守るんだな」
そう言うとメルゼのハンドルを握る力が少し強まった気がした。
「ふん、守らねば俺が親に殺されかねん」
オレとレヴェラは二人でコソコソと神でも親は怖いんだなとクスクス笑っていた。
すると遂にメルゼの堪忍の尾が切れたのか、アクセルを力強く踏み入れ、とてつもないスピードで道路を走り出した。
普通なら速度違反だろうが、それもこいつは家系でどうにかするのだろう……。
運転で死の淵を体験するのはこれでニ度目になったな。もちろん一度目はメイリィの運転だ。
学校に着く頃にはオレとレヴェラは車酔いでトイレへ直行した。
授業の風景は、俺がいじめられる前と何らかわりない。異形でも、普通に人と同じなんだ。だとしたらなぜコイツラは憲法あったり、始末されることがあるのだろうか?
考えてもわからないな。それに、今の俺にはどうでもいいことに感じる。
謎は増えるばかりだ。写真のことや管理局、それに犬神とか。はぁ俺の平穏ってのは一体どこに行ったんだよ?え?
もしかしてこれも俺の不幸体質のせいかもしれないな。でも俺はコイツラと過ごす普通のように見えて非日常的な毎日が好きなのかもしれない。
今回だけは不幸体質に感謝しないとな。
「それじゃあここの問題翼答えられるか?」
おっと考え事をしているときに問題を投げかけるとは、島岡先生も相当なやり手だな。
「すみませんわかりません」
もちろん分かるわけがない。だって聞いてねぇもん。
その答えにクラスは大きな笑い声が響いた。
まぁ、色々謎だったけど今は後回しでいいか……。
1章完結




