十六話:二人での笑い話
忘れていた。昨日のイブの件があまりにも濃すぎて、もう頭からすっぽり消え去っていた。
勇気、こいつはメルゼが助けた異形クラスのクラスメイトだ。
「翼くん、まさかレヴェラさんと友達だなんて……」
勇気は両手で口元を押さえていた。ん?首元に少し手の跡が見える気がするが……。昨日のいじめの時か?
「へ〜、2人とも友達なんだ、知らなかった」
レヴェラは無邪気に俺たち二人を交互に見ていた。
「そういえば、勇気お前も、メルゼみたいな感じで体に変な感じはないんだな」
「あぁ…僕はその、喉と鼓膜が特殊で、生物なら何とでも喋れます……小動物なら無条件で操る事も出来ますよ」
「お前……結構怖いな」
勇気「え?」という困惑の顔をしていたが、ここで先生が登場し、話は断ち切られた。
長い、長い時間がすぎてやっと授業が終わった。
時間はまだ16:00俺は一度家に帰り、母親に21:00までには帰ると伝え家をでた。
俺達が行くことになったのは、イブの家に行く途中にある駅から数分の県最大のショッピングモールだ。
俺は自転車に久しぶりに跨り、ヘルメットをつけ漕ぎ出した。
夏の始まりかと思うほどの生暖かい、眠気を誘うような風を受けながら俺は駅の前までついた。
駐輪場へ自転車を止めると、近くに勇気がすでに来ている。
よく見ると結構おしゃれをしている。いつもの中性的な外見から、少し可愛い男の子へ昇格だ。何だか勇気が小動物に見えてきた気がする。可愛いぞこいつ。
「お前速いな、集合時間より1時間も速いぞ」
俺が後から声をかけると、勇気は俺に気づいたようで後を振り向き
「いや……家で色々あって、早めにでちゃいました」
と、手で頭の後を描きながら笑顔で言う。
「多分まだまだみなさんこないでしょうし、この近くに喫茶店があるんですよ。一緒にいきませんか?」
「そうするか」
こうして俺達2人は喫茶店へ向かうことにしたのだった。
喫茶矢崎。その看板が書いてある喫茶店は駅のすぐ隣に建てられており。いかにも昔に建てられた雰囲気を醸し出していたが、勇気が言うには三か月ほど前にたったばかりらしい。
中にはいると、勇気は自分がおごるからとなんでも頼んでくれといった。
俺も金は一万円くらい持ってきてはいたが、今回なお言葉に甘えることにした。
こうして俺は680円のカフェオレを頼んだ。
後に届いたカフェオレだが、うまかった。コーヒーの中にほのかに香るミルク。口にいれるとこの世のものとは思えないほどの美味しい味が舌を占領する。もはや美味いという言葉でしか表せないほどに美味しかった。店主にはチップを渡したい気分だ。
まぁその後は勇気と他愛もない話をした。俺の渾身のネタは勇気に思ったより受けたようで、勇気は清々しい笑顔で笑っていた。
その笑顔は男でも見惚れるほどにとても綺麗だった。
さて、空が暗くなり始めたな。オレと勇気は、残りの2人が来るまで、2人、星の下で笑い合うことにした。




