十四話:僕の家の日常
僕の名前は木下勇気、今日、クラスメイトの鈴井翼くんと、メルゼ・ガイアスくんに助けられた異形クラスです。
僕が帰る頃には、空はすっかり暗くなっていた。目の前に見えてくる豪邸、僕の心臓がドクンッと音を立てる。
恐る恐る、豪邸の中へ入り、長い庭を通り、扉を開けた。
「勇気、あなたどこへ行っていたの?」
「お、お母様…その……」
深く掘られたような眉のシワ、吊り上がった眉と目が僕の心臓を突き刺すようだ。
言葉が詰まる。言いたいことがあるのに言えない。
「どこへ行っていたのかと、聞いているのよ。勇気」
威圧的な声、だが僕は意を決して母様へ向かって口を開ける。
「きょ、今日……いじめられてたんだ。その、その時にたすけ……られて……遅くなりました」
僕の声は1つ、また1つと声を発していくたびに小さくなっていった。
「勇気、こちらへ来なさい」
お母様の呆れたような声、それを聞いて僕は母様の前まできた。
次の瞬間だった。平手打ちが飛ぶ、強烈な痛みが頬を走り、僕は地面へ座り込む。
「バカを言うんじゃありません!!いじめられた!それはあなたが異形だからでしょう!!助けられたからとすぐに信用して!どうせ騙されているのよ!あなたを利用したいだけよ!!あなたが異形何かに生まれたせいで!夫に私は見捨てられたのよ!?あなたのせいよ!あんたなんか!消えてしまえばいいのよ!忌々しい異形め!!」
「やめろ!!僕の恩人を悪く言うな!翼くんは優しい人何だ!!」
ハッとなった。あまりの怒りに、無意識に言い換えしていた。お母様のシワが一段と深くなる。
「勇気……どうやらあなたには教育が必要なようね!!」
母が僕の首を掴み、強く絞め上げる。苦しい、息ができない、顔の肉が外に飛び出すのかと思うほど、変な感覚が顔を覆っていた。
「母上!そこまでにしてください!!」
一人の男の声がその場に響く。お母様の後には白髪が肩までつくような長い髪の男が立っていた。淡い紫の瞳が母上を睨みつけるような目つきで見つめる。
「龍ちゃん……」
木下龍也。僕の兄だ。
お母様は龍也の言葉で僕の首から手を外した。その隙に僕は必死に息を吸い続けた。
「母上、彼は異形ですが、我々の家系の役に立つ。この人材を失うわけにはいかない、そうでしょう?」
「確かに龍ちゃんの言う通りよ……勇気、今度はないわよ」
そう言うとお母様はそそくさとその場をあとにした。
「すまない勇気、母様が……君を救うにはあぁ言うしかなかった。」
龍也が手を差し伸べるが、僕はその手を振り祓い自分でたった。
「大丈夫だよ兄さん。僕は兄さんのおかげで何度も助かってるんだ。感謝してるよ」
僕は龍也の横を通り過ぎ、自分の部屋へ向かった。
向かう途中…一言だけ。独り言が出てしまった。
「翼くん……また出会えるかな」




