九話:人間対傲慢の神王
投票が始まった。島岡先生が紙と箱を取り出す。
一人一人が名前を書き、中に紙を入れていく。俺とメルゼは教卓に手を付く島岡先生の後で、二人並んで立っていた。
一人、また一人と生徒が紙を箱へ入れていく。
そして遂に全員入れ終わってしまった。頼む、夢なら今からでもいい!どうか覚めてくれ!
そんな俺の願いが届くわけもなく、島岡先生が紙を取り出し始める。取るたびに先生は紙に書かれた名前を確認し、黒板に書いていた俺とメルゼの名前に一票、また一票と出していく。
心臓がうるさい、腹が気持ち悪い。吐きそうで、胸はドクドクして。今の俺ならゴミムシにだって負ける自信がある。
そして遂に結果がでた。
俺11票 メルゼ11票だ。同票、そんなことはありえない、俺達のクラスは全員で25人。一人入れていないことになる。
その時だった。教卓から一番後の一番左、そこで伏せていたやつが慌てて起き上がる。
頭には二本の角、鬼か?そいつはすこしふらつきながら紙を先生に渡した。
時がゆっくりに感じた。先生が紙を開いていく。ドンドン開かれるたびに、俺の鼓動が大きくなっていく。
そして遂に紙は完全き開かれ、先生が黒板に票を書くため、チョークを取る。
俺は思わず、目をつぶってしまった。
チョークで票を黒板に書く音が、やたら大きく響く、いや、そのように感じているだけなのだろう。
「よし!決まったな」
その言葉と同時に俺は目を開ける。目の前には驚く結果が広がっていた。
俺11票 メルゼ12票……。
俺の体から一気に力が抜け、俺はヘロヘロと崩れ落ちる。教室からは罵詈雑言や歓喜の声など色々飛び交っていた。メルゼはその言葉をまるで我が子のように全て受け止めている。
「フハハハ!!所詮人が神に勝つなど不可能よ!!残念だったな人間!!」
メルゼが大きな声で笑う。俺も笑っていた。まさか、こんな結果になるなんて。予想していた結果は、俺が学級委員になることだった。だが!神は俺に味方した!
いや今神が目の前にいるわけだが(本当かはしらんがね)
俺はすこしふらつきながらも席に戻り、座る。俺の目は輝いていた。あまりにも素晴らしい結果、俺は多分人生で一二を争うほど嬉しかったぞ。
さて、緊張がほぐれたせいか、俺は今日の授業ほぼねてしまった。
はぁ、俺の平穏高校は守られると同時に俺の成績を対価に捧げてしまったようだ。
こうして、俺は最後の授業すらぐっすりと、深い深い眠りへと落ちてしまった……。




