第5話‐①【遥希side】『凪化』してゆく優芽がなんか怖い
【遥希視点】
優芽がめちゃくちゃ楽しそうに笑っている。
凪が、優芽の元カレ拓海と友達になったという話を聞いて、笑いが止まらないみたいだ。
「凪くんの発想、面白すぎ!」
そこは、笑うところなのか? そうなのか?
「だって凪くん、拓海さんのこと嫌な奴って言ってたくせに、友達になるって発想がなんで浮かぶの?」
俺なんかその話を聞いたとき、ありえないだろ? ってすぐに思ったんだ。
仲良くする要素っていうか、メリット的なものがなにも見当たらない。
むしろ、ヤバくね?
と、思ったんだけど、凪の考え、優芽のこの笑ってるのを見てたら、俺がおかしい?
だからさ、なんとなく悠真さんにも聞いてみたんだ。
そしたら
「凪がいうように、ストーカーの自覚がないからストーカーじゃないというわけじゃなくてな、自覚がないからこそ、こわいんじゃないのかって、俺は思う」
ああ、悠真さんと同じ考えだったと、少しだけホッとした。
だってさ、なんでもないなら警察動かないよな?
ヤバいから、警察から警告とか受けてんじゃん?
そんなやつが、優芽のカフェに平気で出入りして、なんならたこ焼き持って優芽んちに来ただと?
その上、凪が友達になったなんて聞いたら
「は? ありえない」
としか、思わなかったんだけど、いったい凪と優芽の思考回路ってどうなってんだろ?
「優芽は笑ってるけど、ほんとに大丈夫なのかな?」
「なにが?」
「拓海さんって、危なくない?」
「えー、それいうなら、凪くんのほうがめちゃくちゃやばいよ、すぐ手出してくるし。拓海さんからは、なにもされなかったし」
「え、あ、ああそうなんだ」
手を出して、くる?
「優芽ってさ、凪に、手、出された?」
「えと、出されたっていうか、出されそうになったこと、何回かあったから……」
凪もそうだけど、優芽も、思ったことわりとすぐ言葉に出すところがあって、それはわかりやすくていいんだけど、わかりたくもないことまで、聞き流せないことまで、言うよな。
気づいてないのか、わざとなのか、知らないけど。
優芽って昔からそうかな。
中学の頃だって、俺に勢いでキスしてくるようなとこあったし、たまにやること言うことめちゃくちゃ。
「ねえ、はるくん、なに難しい顔してるの?」
と、顔をのぞきこんでくる。
「拓海さんはね、カフェの常連さんで、いい人なんだよ?」
恋愛は下手くそそうだけどね、はるくんと同じ! なんて言って、また笑ってる。
「はるくん、今日は一緒にお風呂入ろっか?」
急な優芽からの誘いに、俺は頭の処理能力が追いつかずフリーズしてしまった。
それはまあ、嬉しい、と思う。
うん、そうなんだ。でもやっぱり、戸惑う。
こういうこと、いい加減慣れないと。と思いつつ、あれ、なんかうまくごまかされてね?




