第4話‐①【凪side】ストーカー自覚ゼロの元カレ
平然と優芽のとこまで現れる、拓海って男がいる。
少し説明っぽくなるんだけどさ、そいつ優芽が勤めてるカフェの常連。
そして優芽の元カレでもある。
先日優芽とインスタDMしてたとき、優芽がたこ焼き食ってた。
「さっき拓海さんがうちに来て、たこ焼きくれたんだよ」
それを食ってるらしかった。
なにが「たこ焼きくれたんだよ」だ。喜んでんじゃねーよ。
以前、カフェ遊び行ったとき、偶然拓海と会ったけどな、どうも気に食わない。
あ、いいこと考えた。
俺は優芽に連絡して、拓海ってやつと会うことにした。
聞きたいことがいろいろあるし、言いたいことも山ほどあった。
ふたりきりはちょっと嫌だ……ってことらしいから、優芽のカフェに行くんだけど、会ってくれる気はあるらしい。
でも、そしたら土曜しかねーじゃん。
結菜になんて言って出かけるか、それが大きな問題だけど、結菜のためでもあるんだもんな。
「ちょっとやり残したことあって、少し出てくる」
結菜には仕事って嘘ついちゃった!
「遅くなるなら連絡してね」
「いや、そんな遅くならないよ」
そのつもりで出かけていった。
そして拓海と待ち合わせのカフェ。
いつもカウンターに座って、優芽と話しながらコーヒー飲むんだけどな、その日はテーブル席に座らせてもらった。
「逃げずに来たんだな」
ちょっと上から言ってやったんだ。
「別に。そっちが話があるっていうから、わざわざ来てやったんだ」
うわ、さらに上からかぶせてきたぞ、嫌な言い方。
優芽は脳内にイケメン図鑑を持ってるらしく、そこにこの拓海も入れてあるとか言っていた。
イケメン図鑑? なんだそれはと聞いたら、
『凪くんも入ってるよ』
なんて言われたので、まあいっかと流しておいた。
優芽が言うように、見た目はまあまあだな、かっこいい部類にはいるのかもしれないけれど、態度がどうにも気に入らない。
しかもいい会社に勤めてるハイスペらしいし。
「で、なに? 忙しいんだけど」
うっすら笑いながら拓海が言うからイラっとした。
「は? 忙しいなら来んなよ」
「…じゃあ帰る」
拓海が席を立とうとしたから
「バカじゃね? 冗談なのに。だからつまんねーって優芽に言われてふられたんだろ?」
って言ったらムッとした顔したけど、また座った。
「ね、ところでさ、ハイスペってなに?」
「さあ……なんだろうね」
「それってすごいの? ハイスペで得したことってある? 女の子にモテる? なんで結菜と別れたん?」
次々に聞いてやったのに、拓海はなにも答えてくれない。
優芽情報によれば、こいつは結菜と同級生。
てことは、俺より学年では1個上なだけで、たいして年齢変わらないじゃん。
拓海が優芽の元カレでもあるけれど、結菜の元カレ(みーくん)でもあると聞いたときは、びっくりした。
その拓海、収入とかいろいろ、絶対俺より上だし、そうゆうとこ出されたら完全負けてるんだけど、こいつ結菜にも優芽にもふられてるんだよな?
顔もいいのに、なにが問題なんだろ?
それが知りたかった。




