第3話‐②
その日の夜も、凪くんがお土産って言って、わたしの好きなものをたくさん買ってきてくれた。
ロールケーキは好きだけど、こんな遅い時間には食べないよ。
太るじゃん……。
でも凪くんは、わたしの膝枕が大好きだという。
少しぽっちゃり目の女の子のひざ枕って、ふわふわして気持ちいいらしい。
「ぽっちゃり目……」
結菜気持ちいい、結菜ふわふわ、結菜………好き。
「そか、凪くん、ふわふわ好きなんだね!」
「うん、結菜の全部ふわふわで好き」
少しぽっちゃり? でも、標準体重なんだけどなあ……
でもわたしの感覚では、標準体重って少し太めなんだよね。
「痩せた子より、いい?」
「うん、でも、結菜ならなんでもいい」
心のなかで思ってたのは、優芽ちゃんのこと。
優芽ちゃん、わたしよりスリムだから、いいな、うらやましいなって思ってた。
そんな優芽ちゃんなら言いそう。
『こんな夜遅くにロールケーキなんて、太るから食べない』
だからあんなスリムを維持できてるのかもしれない。
ロールケーキを目の前にわたしは、少し嫌なこと思い出した。
元カレみーくんもね、やましいことがあると、こうやってお土産だよって買ってきてた。
そんなふうに疑うクセ、やめたいのについ考えちゃうよ。
そして凪くんとみーくんとの比較もそう。
2人は違う人間なのに、その違う人間からされてるのは
「本命のようでいて、キープされてる」
ってことなんだ。
不倫する人にありがちな、意味不明の言い訳。
それに似てる。
表面上は幸せ。
疑わなければ、幸せ。
なんで、そんなに大量にお土産が必要なんだよってこと。
でも、余計なことは言わないって決めた。
結局、今のわたしの「地雷」って優芽ちゃんだよね。
みーくんのことだって、優芽ちゃんに取られたようなものだし。
いや、違うのかな、優芽ちゃんは何も悪くないのかな。
わからない。
わからないけど、怖いんだよ。
遥希くんが、優芽ちゃんのことしっかり捕まえておいてくれたらいいんだけど、ちょっとなんか、そういうところ、遥希くんって頼りない。
遥希くんには悪いけど、
「いい人なんだけどな」
ってタイプだよね?
結婚するには、安定してるタイプかもしれないんだから、さっさと結婚してくれないかな?
凪くんまで優芽ちゃんに取られたくない。
なんてことを、凪くんと楽しみながら、心の中ではこっそり考えていた。
浮気するなら完全に、完璧に隠してよ。
1ミリも疑えないくらい完璧に。
そうじゃないなら、余計なこと、しないで。




