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僕らが見つけた普通の幸せ~不完全な僕たちの未来【君の知らない僕のダークサイド〜救われるもの【完結編】  作者: 水波瀬 凪


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第2話‐①【凪side】夏ドラマの成功と打ち上げ

「うわ、俺が踏みつけたあのお守り! 出た!」


俺たちの仕事は、主にドラマや映画で使われる小物、小道具などの制作。


これまで夏ドラマに向けて頑張ってきた仕事が、無事にオンエアされた。


使い古した感を出すため、小道具であるお守りを俺が痛めつけてたんだよな。


やりすぎて燃やしてしまったことも、いい経験だった。


微調整って難しいんだよな、何度失敗したことか。


「良かったな、凪」


遥希がポンと肩をたたいて一緒に喜んでくれた。


入社一年目の俺。


初めて自分が手がけた仕事が、世の中に形として見えたんだもんな、そりゃ嬉しいに決まってる。


ドラマのエンドロールに個人名は出なくても会社名やチーム名が出ることもあって、みんなそれをみることでやりがいを感じてたって聞いてたけど、今、この瞬間、俺も感じた。


「遥希、ポテトのある居酒屋行きたい」


遥希に、夏ドラマが成功したら、打ち上げしてやるから頑張れって言われていたことを思い出した。


「ああ、そうだったな、よし計画立てるか」


遥希は同じチーム仲間の悠真(ゆうま)さんとも相談し、チームでの飲み会を企画してくれた。


「店選びは、凪に任せた」


遥希に言われる。


俺っていつもそんな役。


「おまえいい店知ってるからな、頼む」


なんて持ち上げられるんだけど、遥希の苦手分野を単に押し付けられてるだけなんじゃないかってよく思っている。


でも、ポテト食べ放題、飲み放題、店の雰囲気とか俺の好きなように選べるのは良かった。


会社の経費で落とせるし、飲み会のテーマに合わせた店を選べたときは、みんな満足そうにしてくれるのは嬉しかった。


それでいつもは、俺たちの暗黙の了解で、飲み会には彼女や家族を連れてきてもいいことになっているんだけど、その飲み会に結菜を誘ってみたら


「え、それって優芽ちゃんも来る?」


少し迷いを見せた。


そか、あれからたぶん、優芽と結菜は会ってないし、話もしてないんじゃないか?


「んー、やっぱ今回はやめておこっかな」


仲直りの機会になる? と思ったけれど、そう簡単にはいかないみたいだ。




結局、結菜は参加せず、優芽も来なかった。


みんな俺のこと「ポテト」さえ食わしとけばおとなしくしてるって思ってんのかもしれないけどな、違うんだって。


そう言っとけば、みんな喜ぶだろ?


そんな、芋ばっか食って生きてるんじゃねぇんだよ。


と、なぜかみんなに不満をぶつけたくもなる。


なんだよ、今日の飲み会、女の子はひとりもいない。


あ、美咲(みさき)さんはいるけどな、美咲さんは女の子ってゆーより、お母さんなんだよな。


いや、まだギリギリ20代後半なんだろうけど、どう見ても落ち着きすぎてるだろ?


悠真さんと美咲さんが仲良さそうに話してるところに、遥希が邪魔してるようにしか見えない光景。


つまんないから、ポテトと白ワイン飲んでた。


結菜が、ポテトにはワインが合うって教えてくれたからそうしてみたけど、なんか微妙。


ポテトには炭酸系が合うと思う。


でも、結菜喜びそうだから、ポテトと白ワイン飲んでるってLINEしといた。


「結菜も来れば良かったのに、優芽来てないんだよ」


ってメッセージもつけて。




「お待たせしましたー」


と、さっき頼んだサワー類3種が来た。


いちいち注文するのがめんどくさいので、一気に3種類頼んだんだ。


コーラと、柚子と、梅酒。


「ありがとう」


って、運んできてくれた女の子に言った。


「え、あ、はい、ごゆっくりどうぞ」


にこって笑ってくれた。


てゆーか、コーラまずい。


「遥希、これ飲む?」


「あ、うん」


コーラのは遥希に任せた。



悠真さんを見ると、すっかり美咲さんにホールドされてる。


「凪、さっきからスマホばっか見てんね」


遥希から声かけられて、ビクッとしてしまった。


やめてくれよ、急に声かけるの。こっそり悪いことしてた子どもみたいじゃん。


「別に、悪いことしてないよ」


遥希に言っておく。


「悪いことって、何してんだよ」


「だから、してない」


「ふーん、そか」


俺がやったコーラサワー飲んで、


「これ、味薄いな……」


遥希が変な顔してる。


「凪おまえ、まずかったから俺に飲ませたのか?」


「でも、さっきの女の子かわいかったから、いいじゃんか」


ヤバい、また病気発言してしまった。


せっかく過去の女の子たち整理したってのに、ほんとにこうゆうの、きりがないよな?


声かけたりしたら、また結菜に怒ら…いや、悲しませるからしないけど。




「遥希って今日、優芽のとこ行く?」


飲み会終わってから帰るとき、遥希に聞いてみた。


「いや、明日泊まりくる予定だし、今日は行かないけど?」


「ふーん、そか、俺なんか帰ったら結菜いるんだぜ、いいだろ」


「一緒に住んでるんだから当たり前だよな」


遥希の答えが、期待してたものと違う。


つまんないな。


遥希が行かないなら、俺が優芽にケーキでも買って持ってこうかな。


ひとりでさみしいんじゃないかなって、そう思ってメッセージしたけど、全力拒否された。


まあ、そうだよな。


俺はコンビニに寄ると、結菜の好きな、じゃがりことロールケーキ、ついでにチータラと、赤ワインも買った。


お土産大量、喜ぶといいな、と思ってたんだけど……。


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