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僕らが見つけた普通の幸せ~不完全な僕たちの未来【君の知らない僕のダークサイド〜救われるもの【完結編】  作者: 水波瀬 凪


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第1話 - ②

「ねえ凪くん。まず、貯金するとこからやろっか?」


結菜が言って、自分が使ってるっていう「ネット銀行アプリ」ってのを教えてくれた。


俺たちはいま、引っ越しを考えてるところ。


「凪くんち、狭い~」


うちに転がり込んできた彼女、結菜が不満ばっか言う。


だからその資金を貯めようって話してたんだ。


俺、貯金ゼロ。


たぶん貯める才能もゼロ。


なんなら借金しかない。


なんの借金があるかというと、以前やらかしたツケだ。


「先取り貯金がいいよ」


結菜が給料日に自動的にこの口座にスライドできるやり方とか教えてくれた。


貯金ゼロは言えたけど、借金のことはまだ、結菜に言えてない。


計算ではあと4年で借金は終わる。


それまで結菜に隠し通せるんだろうか。



それからもうひとつ、優芽との関係のことも。



「優芽の歴代彼氏みんなイケメンだったのに、なんで今、遥希?」


今日もインスタのDMで優芽とつながる。


「はるくんが一番好みのタイプ」


なるほど、イケメンより好みのタイプか。


「俺、それわかる」


結菜かわいいけど、アイドル級にかわいいかってゆーとそうじゃない。


誰が見ても美人かっていうと、そういうんじゃないと実のところそう思ってる。


やっぱり「タイプ」なんだろうな。


「はるくんがスマホ見てるときの横顔がかっこいいんだよね、笑うとチラッと見える歯もかっこいい。それから立ってる姿とか歩くときとか、指も好き」


そして優芽は、もういいって、わかった、ってくらい遥希のどこが好きかってことを話してくるんだ。


これ、なんの相談? って思ってたら、変なことを言い出した。


「ね、はるくんってさ、なにをしたらわたしのこと、怒ると思う?」


「なんだそれ、怒られたいのか?」


「ん、ちょっと違う」


「はっきり言わないと俺、察せる能力ない」


「はるくんが怒ってるとこは見たことがあって、それ、全部わたしが、誰かに傷つけられてるとか、そんなとき相手を怒るの。あの怒りが、いつかわたしに向くときが来るのかな?」


「優芽の思考回路、ときどきめんどくせーな」


「うん、わかってるんだけど、つい考える」


「俺なら、いまもう、イライラしてきたぞ」


「え、早っ」


「それよりもう、結菜くるから。またな」


スマホ閉じたとき、ちょうど結菜がシャワーから戻ってきた。


最近暑いから、シャワーで済ませる日が増えてきてるんだよな。


ゆっくり湯船に浸かってくればいいのに。


そんな風に思ってしまった俺って、結菜より優芽に傾いてるのか?


なんてことが、ちらりと頭をよぎる。


結菜が隣に座った。


気持ちを結菜に戻そうと、俺はわざと結菜にいたずらする。


「やだー凪くん、くすぐったーい」


「結菜かわいいな、ほんとに」


「えーいまさら、なに? どうしたの?」


「んー、結菜が結菜で良かったなって思って」


「意味わかんない」


やば、不審に思われた?


「意味なんかないよ、結菜がかわいいなって、つきあって、こうしていられんのが幸せだなって思ったんだ」


「わたしも幸せ!」


そういって結菜が抱きついてくる。


せっかくシャワーしてきれいにしたのに、結菜、すぐそういう雰囲気作ってくるんだもんな。


難しい話したり、問い詰められたりするのよりはずっといい。


優芽の話はときどきめんどくさいけど、でもなんてゆーか、それは必要。


少し前、優芽との関係を結菜に疑われ、LINE禁止にされていた。


優芽とLINEできねーってなったとき、なんとなく不安定でイライラしてたけど、インスタのDMでつながってるいま、すっげー安定してんの。


なんだろ、これ?


結菜も必要、優芽も必要。


そのふたりとも。うまくいってて。


だからかな? 満たされてんのかも、心……。


別に浮気とかじゃねーしな。


優芽は俺の安定剤ともいえる。











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