第16話【優芽side】地元のお祭りと祖父母への報告
「だからね、ふたりとも長生きしてね」
祖父母に、赤ちゃんできたって報告したら、ふたりとも喜んでくれた。
「ちょっと順番間違えちゃったけど、すぐ入籍する」
そういうと、はるくんも
「そんなわけで、今後もよろしくお願いします」
って頭下げて挨拶してた。
おばあちゃんは、わたしの親のことを気にしてるみたいで
「あっちには、言うのかい?」
って。
「言わないかな、知らせるかどうかも考えてない」
会いたくなかった。
特に、樹。ゴミ箱にまだおとなしく入ってんのかな。
想像したら笑えた。
何をしようが勝手だけど、わたしの前には表れないで欲しい。
夜になって、祖父母とはるくんと4人で、近所までお祭りを見に出かけた。
そこで地元の友達とも、ばったり出会った。
「優芽、誰??」
紹介してって友達、3人いるけど言われて
「今度結婚するんだ、遥希くん」
「え!! いつの間に!!」
びっくりさせちゃった。でも、喜んでくれて嬉しい。
「そっかぁ、優芽もやっとイケメン卒業できたんだね~」
え、それって喜ぶところ?
はるくんを見たら、微妙な笑顔。
「いや、見てよ! 超イケメンでしょ? めちゃ素敵でしょ?」
みんな見る目がないなぁって言っておいた。
わたしのイケメン図鑑の一番上にはるくんがいて、ずっとキープだって言ってるのに、まだわかんないのかな?
湊くんも、いまははるくんの下。
それにもう出てこない。
呼んでも出ない、気配も感じない、凪くん見ても惑わされない。
はるくんと手をつないで、お祭りの屋台を見て歩く。
「はるくん、昔、きんぎょまつり、行こうって言ってたの覚えてる?」
「ああ、覚えてる。一緒に行こうって言ってたのに行けなかったやつ」
「今度行こうよ」
「そうだな、予定にいれておくか」
「来年は、3人で行けるかな?」
「うん、行ける、楽しみだよな」
「はるくんと同じ、テニス部にいれようか」
「なんだ、気が早いなー」
「そだね、でもきっと、かわいい子が産まれる」
はるくん2号、小さいはるくん、楽しみすぎる。
わたしはお母さんとは違うよ。ちゃんと、育児する。
はるくんと一緒にするんだ。
そしてね、みんなにも遠慮なく協力してってお願いする。
ひとりで頑張らない。
たくさんの人の愛情、いっぱい感じさせてあげたい。
「はるくん、男の子と女の子どっちがいい?」
「えーどっちでもいい、っていうか、どっちも欲しいな」
「女の子だったら、凪くんに落ちるかな?」
「いや、そこはしっかり、境界線を引ける子にしよう」
きっとはるくんが、まじめにしっかり、しつけるんだろうな。
はるくんは自分の父親が理想って言うし、だったら大丈夫。
きっと、はるくんみたいな優しい子に育つんだ。
わたし、育児に自信ないから、遠目で見ててもいいかな?
あんまり干渉しせず、見守っていたいと思った。
世間的には間違った考えかもしれないけれど、どんな理由であれ、前向きに考えられるようになれたのはきっと「わたしだけの正解」だったのだと思った。
信頼してるよ、はるくん。
今度こそ、ひとりじゃない。




