第13話【優芽side】なんでうちに来る?
子ども、いらない。
欲しくないと思ってるのに、なんで来るのかな?
先日、そういえば来てないなって思って、市販の検査スティックを使ってみたんだけど、陽性って出ちゃった。
「あーあ、赤ちゃんできちゃった」
あんなに軽蔑してた母親と同じことやってる。
やることやったから、できるんだよ。
そのこと、大人のくせに失敗するなんてバカじゃんって思ってたのに、結局わたしってあの母親の娘なんだね、似てた。
はるくんに、言わなくちゃ。
ん? はるくんでいいんだよね?
凪くんとも、少し悪いことしたけど、あれじゃ子どもできるわけないよね?
あれ、湊くんかな?
いやでも、あれは夢の中のことだから。
なぜかLINEが復活したって凪くんが言ってたから、わたしは連絡してみたんだけど、
「ええ! 優芽、妊娠したの? マジでか?」
びっくりしてた。
笑う。
「はるくんに言ったら、なんていうかな?」
「そりゃ、結婚だろ」
「でもわたし、子ども欲しくないんだよね、凪くん子ども好き?」
「うーん、嫌いじゃないけど」
「じゃあ産むから、それ凪くんにあげようか」
「優芽、何言ってんの? 大丈夫か?」
頭おかしくなったかと思われてるのかな。
そうじゃない、違う、怖いだけ、ほんといらない。
「だって、凪くんの子かもよ」
一瞬LINE途絶えちゃったかな? ってくらいしばらく返事が来なかった。
「それはない、遥希のだって絶対」
あ、返事来た。
計算してたのかな。
「だってさ、優芽が遥希とつきあってから、俺なんもやってない」
だよね、そうです、正解。
はるくんから告白されてつきあって、そのあとだから当然はるくんが失敗したんだ。
失敗なのかな、まさかわざとじゃないよね?
「あー最悪なんだけど」
「そうかもしんねーけど、ちゃんと遥希に言わないと」
「なによ凪くんのくせに、まじめに言わないでよ」
つまんないんだよ、まじめになったら。
わたし、気持ち悪い、こんな体の中になにかいる。
気持ち悪い、嫌だ、死にたい。
「わたし、消えたくなってきた」
「優芽、しっかりしないと、俺、遥希に連絡してやろっか?」
「しなくていいよ、わたし湊くんのとこに行く、バイバイ」
返事来る前にLINE閉じた。
もう、ブロックしよ。
ああ、思い切りメンタルぐだぐだ。
こんなの、脅迫じゃん?
わかってるんだけど、そうしないと精神が変になる。
気持ち悪くて、頭から洗い流したくなって、わたしはシャワーをした。
流れちゃえばいいのに、なんてちょっと思ってしまったんだけど、そっと自分のお腹に手を当ててみたら、なんていうか
「あったかい」
そこだけ、ポッとしたぬくもりを感じた。
なんだろうこれ。
さっきまであんなに気持ち悪いしか思えなかったのに……。
あ、これ、はるくんの子?
だから、はるくんそっくり、あったかいの?
はるくんの分身だ。
あ、そっか。わたしだけで決めちゃいけないんだ。
それにそうだ、おばあちゃんもひ孫の顔が見たいねって言った。
はるくんとおばあちゃんが育ててくれるかも。
それに、凪くも協力してくれるって、まえに言ってた。
「ひとりで頑張らなくていいなら」
そうだ、カフェに連れてって置いておくのもいいかな。
常連さんにかわいがってもらう。
あれ? さっきなんで湊くんのところに行くなんて言った?
「やっぱ頭がおかしくなってるのかも」
そのとき玄関が騒がしくなって、チャイムも鳴ったから出たら
「大丈夫か、早まるな!」
はるくんと、凪くんがいた。
「あ、湊くんここにいたー」
カラコンつけてない凪くん、隠せてないよ、それ。




