第11話【悠真side】みんなの保護者を卒業してからというもの俺は
【お久しぶりの悠真視点】
もう忘れ去られて、出番がないと思ってたけど、書いてもいいらしい。
あれからの俺は、凪からも泣きついて来られず、遥希からの相談も受けず、最近では仕事と恋愛にいい意味での集中ができているんじゃないか?
そういうと充実してるだろ?
いや、ちょっとさみしくもある。
『悠真さーん聞いてー遥希がー』
『ちょっと悠真さんに言っておかないと、凪が』
みたいなやつ、なくなってる?
彼女の美咲が言うんだよ
「良くも悪くもつきあう女で男は変わるわ」
ということはだな、ふたりともいい恋愛をしているってことだ。
「わたしも落ち着きたいな」
ふと、美咲が言った。え、見るからに落ち着いてるだろ?
凪なんか、
「美咲さんってお母さんみたいだ」
なんて言ってるくらいなんだから、落ち着いているだろ?
「そうじゃなくて、その……」
いいかけて美咲は、ため息で言葉を濁した。
「わたしね、来年30になるのよね、わかる?」
「ああ、知ってる」
「あなたとは職場で出会って、何年かしらね」
「ん? そうだな、5年? くらいか」
「もう、お互いどんな人間なのか、知りすぎるくらい知ってるのよね?」
「そりゃまあ、だから美咲の良さを知って、いまこうして付き合ってて」
「これ以上、知らなきゃならないことって、あるのかしらね」
「うーん、それもそうだな」
何となく、美咲の言いたいことがわかってきたような?
「9月の五稜郭の旅は、新婚旅行でもいいわね」
ああ、やっぱりそうか。
そこまで言われて、わかりません! ていう男はいないだろ?
やっぱり、20代と30代とでは、女性にとってその、なんだ?
違うんだろうな。
「わかったよ、美咲」
結婚しない理由はないな、と思っていた。
ただそのタイミングを考えていたんだ。
つきあってからはまだ半年にもなっていない。
そう思って時期を待っていたんだけど、言われてみれば先延ばしにする意味もなかった。
もう、お互いよく知っていた。
お互い、年齢的にもタイミングなのかなと思っている。
遥希じゃないけど、覚悟できてんのか、俺は!
人のことならどうとでも言えるのに、自分のこととなるとやっぱり戸惑うものだな。
「よし、五稜郭は新婚旅行だ」
言ったぞ! これでいいのか?
美咲を見ると、うつむいて肩を震わせてる。
え、大丈夫なのか? と思った途端、大笑いして
「もう! 悠真さん不器用!」
でも、ありがとう嬉しいって言ってくれた。
「約束ね」
美咲が小指を差し出してきた。
「知らない? 指切りげんまんするのよ」
「え、ああ」
まさか美咲が、こんな子どもっぽいことをするなんて驚いたけど、
「幸せになれる約束よ」
そう言われると、そうなれそうな気がした。
「子どもたくさん欲しいわ」
「な、何人いけるかな?」
「あなたの頑張り次第かしら」
ああ、こんなところ、凪に見られたらなんて言われるか。
でも、報告はするべきなんだろうな。
「悠真さん、手が早いな」
とか言われるんだろ、きっと。
いや、こんなのはほんとにタイミング。
いまだったんだろ?
そう、今なんだ。




