第10話【優芽side】閲覧注意かもしれないわたしの過去の秘密
【優芽視点】
祖父母の家に行くのに、何を持っていけばいいのかなって、はるくんに聞かれた。
「おじいちゃんには日本酒、おばあちゃんには和菓子だね」
途中のショッピングモールでそれらを買い、祖父母の家に向かう。
特に用事があるわけじゃないのに、こうして2人で泊まりに行くなんて、すごく特別なことのように感じていた。
「おじいちゃん、おばあちゃん久しぶり」
「よく来たね、遥希くんもいらっしゃい」
当たり前のように、はるくんのことも歓迎してもらえる。
『リフォーム済みのきれいなバスルーム、そこでお風呂にはいらせてもらう、俺たちがDIYしたキッチン。
そこで、優芽と優芽の祖母が料理を作る、そしてリビングでは、俺とおじいちゃんが日本酒を飲んでるんだ。
なんだこの、絵に描いたような幸せな光景は』
泣きそう。だと、はるくんが言った。
「はるくん、大丈夫?」
わたしははるくんの顔を覗き込むようにして聞いた。
「うん、ごめんな、大丈夫。ちょっとだけ、しんみりしてしまった」
それだけなんだって、見るからに本気でしんみりしてる。
そして、飲み過ぎて寝てしまったおじいちゃん。
それさえも、
「幸せだなあと感じる」
と、はるくんが、いちいち感動している。
「あれとは、もう会ってないのかい?」
おばあちゃんと料理してるとき、ふと言われたこと。
あれ、ていうのは、義理の兄、樹のことでしょ?
おばあちゃんは、全部知ってる。
だって、わたしが相談したからね。わたしが全部話したんだから。
そう。おばあちゃんは、樹のことが嫌いだ。
なぜだか小さい頃から親に言えないことでも、おばあちゃんには言える。
なんでかって? おばあちゃんは、絶対に怒らないから。
絶対に、わたしを否定しないからなんだ。
だからといって、甘やかされてたのとは違う、間違ってることは間違ってると、ちゃんと教えてくれる。
知らないから間違えるんだって、いつもおばあちゃんは言ってた。
だからわたしは、同じ間違いは、2回繰り返さない。
わざとやっちゃうことはある。
でも、ちゃんとわかってるつもりだよ?
寝るとき、おばあちゃんは客間に布団を敷いてくれた。
「なんかさ、不思議だね」
「なにが?」
「はるくんが、おばあちゃんちに泊まってるの」
「まあ、これが、初めてだしな」
「なんかさ、こういうのって、エロくない?」
ちょっとだけ、はるくんの反応を確かめてみたかった。
「なんだよそれ」
「はるくん、お酒飲み過ぎてない?」
「ん? そんなに飲んでないっていうか、酔ってないよ」
「そっか、じゃ、大丈夫だね」
「え、なにが?」
「飲みすぎるとできないんでしょ?」
「あ、え、そんなこと……まさか、ここで、やる気?」
おばあちゃんたち、すぐ隣の部屋で寝てるのに?
って、やっぱりはるくんだ。
慌ててるのが面白いけど、はるくんらしくて大好きだ。
明かりを消してからも、わたしはまだ眠れなくて過去のあの件を思い返していた。




