第6話‐②結菜視点
【結菜視点】
「優芽ちゃんとインスタで繋がってるんだね」
わたしは平静を装いながら凪くんに言った。
「あー、うん、言わなくてごめんな、でもな、優芽がなんか炎上したって言って困ってたから相談乗ってて」
リアルじゃねーし、SNS上だけなんだしって、凪くんが言い訳してる。
そのサイトのアカウントだって、お互いに登録しないと繋がれないんでしょ?
それって、LINEしてないのに、いつ連絡を取り合った?
インスタだって、いつどうやってつながったの?
考えてもわからないけれど、内緒にされていたのは事実なんだからね。
見過ごしてはいけないって思う。
「結菜だって、困ってる人ほっとけねーだろ?」
「それはまあ、そうかな、だけど、なんで優芽ちゃん炎上してんの?」
とはいえ、聞いたってほんとのこと言わないだろうし、そんな内容なんか、どうでも良かった。
そこじゃないの。
明らかにわたしが声かけたら動揺してるじゃん?
悪いこと、わたしに言えないことをこっそりやってるって、バレバレすぎて笑うよ。
それにやめさせたってまた、きっとどこかで繋がるんでしょ?
そんなに、優芽ちゃんがいいの?
そんなに、繋がってたいの?
そう、優芽ちゃんが必要なんだね。
だったら、同じことしたらどうかな?
「ね、凪くん。もしもわたしが、遥希くんと寝たらどう思う? あ、みーくんともやっちゃおっかな!」
「何言ってるか、わかんねーんだけど。いま優芽の炎上の話してたよな、なんでそうなる?」
あー、不機嫌になった。
「優芽ちゃんのこと、好きなの?」
「友達だもんな、好きは好き。遥希のこと好きなのと、同じだけどな」
それ以上でもそれ以下でもない、なんてありきたりのことを凪くんは言ってるんだけど、それで納得すると思ってんの?
「そっか、わかった。じゃあ、コソコソしないで堂々と連絡とりあえば?」
わたし、いま『許可』してあげたよ?
どう、嬉しい?
みーくんのときは、こんなふうに言えなかった。
いつもニコニコして、言いなりのいいワンコだったけど、凪くんには言えてる?
そう、言えてるんだ。
わたし、ワンコから人間に昇格したばかり。
最初から人間の優芽ちゃんのほうが、格上なんだよ、きっと。
優芽ちゃんはみーくんと深くつきあわなかった。
みーくんからワンコ扱いされる前に、別れたんだよね。
早く対等になりたい。
凪くんと対等になりたいだけなんだ。
「よくわかんないけど、炎上おさまるといいね」
「あ、ああそうだよな」
今日のところは、これで終わりにしてあげる。
「でも、なるべく控えてほしい、やきもち焼いちゃうから」
「うん、わかった、ごめんな」
凪くん、許された、良かったって思ってるみたいだけどね、保留にしただけだよ?
あくまでもわたしが優先されなきゃ嫌で、優芽ちゃんは2番目。
わたしが上の扱いされなきゃだめなんだ、わかってる?
凪くんはきっと、優しいんだよ。
みーくんと友達になるくらいだから、困ってるひとや寂しい人をほっとけないんでしょ?
それを本当に「優しい」というなら、なのだけど。
わたしの独占欲さえ抑えておければ、この関係って安泰なんだ。
でもこれって、ワンコと何がどう違うのかな。
もっと言いたいことを言って、修羅場にならないとダメ?
「凪くん」
「ん?」
「優先順位、間違えないでね」
わたしを一番にしてね、と言って凪くんに抱きついた。
みーくんの時みたいな失敗はしたくない。
別れる、とは絶対言わないのは依存なのかな?
依存かも。
あれ、依存って、悪いこと?
何だかよくわからなくなった。
なにが正解で、なにをわたしは間違えているんだろう。
心から安心できる状態っていったいどういうもの?




