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「ジグ」:新たな神話  作者: らゐをふ


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13/15

13、名無しの匿名希望

「あなたはなぜこんな所に?」


「ママに会いに来た」


「ここは『死後の世界』ですよ?」


「愛はそんなことで止められねぇ」


「……あなたが私を殺したのに?」







 アマテラスAIの普及により、世界はより良くなった…筈だった。

「文也!出番だ!」

「またですか!?」

 暴走の多発。悩める子供の多い学校では、AIを誤った使い方をして暴走する者が増えたのだ。

「今度の原因は!?」

「AIにジグが嫉妬!」

 冷静に見ていたカヘは真面目な顔で言う。

「この世界と相性悪くないですかジグって奴!?」

 ジグは己のもう一つの人格。本能とは別に生まれる相棒の様なもの。その立ち位置をアマテラスAIは奪おうとしてしまう。

「ツクヨミ この現状はどう思います?」

「僕の所為じゃない僕の所為じゃない僕の所為じゃ……」

「逃げないで下さい!!!」

「ごめんなさぁい!!!!」

 クールな顔をしていたツクヨミだが、この時ばかりは子供の様に泣いていた。

「ツクヨミはジグを卒業したんですか?もしまだなら一緒に……」

 無言でツクヨミは短い刀を見せる。音も無く現れた武器は、ジグによる物だと文也は納得する。

「…『カタナサマ』」

「はい?」

「僕の!ジグ!!会話もできない短刀!!!終わり!!!!」

「終わらないで……」

 文也は落胆した。

「…ちなみに暴走した対象は?」

「目の前」

 カヘが指差す先に、異形の化け物が居た。

「「近!?」」

 驚く文也とツクヨミ。だがツクヨミはすぐに息を整える。

 深呼吸して、息を止めた。その瞬間、異形は倒れた。

「これで一件落着って事で……」

 皆がポカンとしているのをゆっくり見回すツクヨミ。長い沈黙の後、顔を赤くしてまた息を止めた。その瞬間ツクヨミの姿は消えてしまった。

「…どう言う事?」

「どう言う事だろうな!」

 文也の問いにカヘは和やかに言う。一部始終を影で見ていたヒカネが呟く。

「あれ…私と同じ…」

 そんなヒカネを、疑問符を浮かべながら叩くタツキ。リアクションが無いのを良い事にひたすら殴っていた。

 後で謝りながら頭を撫でたらしい。






「異形…化け物…もっと良い名称は無いものか……」


「何を考えているの?『カムイ』」


「守る為には何が必要だと思う?『クナ』」


「力とかかしら?」


「『敵』だ 争いというものは敵が居るから発生する」


「難しい倫理は好きじゃないわ」


「私は好きだ 不幸な物語ほど唆る」


「気持ち悪い」


「……真顔で言われると傷付くな …しかし名前が無いのは不便だ ならばそれすら名前にしてしまおう なぁ…『名無し』」



名を持たぬ者ほど恐ろしい物は無い。

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