第四章七話 能力を写す王
「ライト・ザック・バーナル!」
名前を呼ばれ、ライトがコロシアムへ降り立った。
反対側には、レオン・ワンズ。
「小僧」
レオンが笑う。
「楽しみにしていたぞ」
「レオン」
「何だ?」
「本当に」
ライトが真剣な顔で尋ねる。
「サブローの家族を殺したのか?」
「…………」
「一番になるために犠牲にした人間のことなど、ほとんど覚えておらん」
「……」
「だが」
レオンは淡々と言う。
「当時の我は、一番になるために必要と判断したなら、女子どもであろうと容赦しなかった」
「……マジかよ」
「さあ」
レオンが構える。
「始めよう」
開始の合図。
「!」
レオンが一瞬で距離を詰める。
「ぐっ!」
拳。
ライトは腕でガードする。
「重っ!」
さらに拳。
蹴り。
一撃一撃が凄まじく重く、ライトの鍛え上げられた肉体にもダメージが蓄積していく。
「ふむ」
レオンが手を向けた。
「こうか?」
「は?」
――バリッ!
雷。
「なっ!?」
「ぐあっ!」
ライトが直撃を受ける。
「何だそりゃ……!」
よろめきながら立ち上がる。
「くそ!」
「もうやるしかねえ!」
ライトは、これまで筋トレで記録を更新した瞬間の数々を思い出す。
「マッスル・ライトニング!」
雷が身体へ落ち、全身を包む。
「ほう……」
レオンの目が僅かに輝く。
「面白い」
拳で胸を叩く。
次の瞬間。
「!」
レオンの速度が跳ね上がった。
「ここからが本番だ」
◇
二人の激しい攻防が続いた。
ライトのマッスル・ライトニングも徐々に限界へ近づいていく。
「はあ……はあ……!」
「終わりだ」
レオンが手を向ける。
雷。
「ぐああああ!」
ライトの身体がリング外へ吹き飛んだ。
その最中。
「……?」
ライトは気づいた。
レオンの厳つい顎髭が、すべてなくなっていた。
「善戦した褒美だ」
レオンが言う。
「我の能力はコピー」
「…………」
「触れた相手の能力と、その代償を知ることができる」
「……」
「そして必要と判断した能力だけを、最大三つまで保存して使える」
「…………」
「ただし、コピーした能力は本来より性能が落ちる」
顎を撫でる。
「その分、支払う代償も別の形へ変質するがな」
「…………」
ライトの意識が遠のく。
最後に思った。
――代償が毛で、こんな強くなれるの
――ズルくね……?
「勝者〜!」
「レオン・ワンズ!」
◇
「ライト!」
ルナが駆け寄る。
「ライト!」
「生きてる!?」
「小僧の連れか」
レオンが近づく。
「楽しませてもらった」
ルナの肩へ手を置いた。
「ライトが死んでたら許さないから!」
「殺してはいない」
「なら触らないで!」
「ふむ」
「何よ」
レオンはルナを見る。
「お前の能力」
「え?」
「酷いものだ」
「は?」
「我には要らん」
「何の話?」
「気にするな」
レオンはその場を去っていった。
「何なのアイツ!」
「くっそ……」
ライトが悔しそうに拳を握る。
「わりールナ……」
「ライト!!!」
「何謝ってるの」
ルナは肩を貸す。
「生きてるだけで良かったよ」




