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第四章六話 決勝へ進む者たち


 大会が始まり、ライトとサブローは順調に勝ち上がった。


 そして、サブローの準決勝。


 相手は――


「おーおーおー!」


 シノノメ・ナグモ。


「お前さんからも達人の雰囲気を感じるよ!」


 シノノメは嬉しそうに笑う。


「オイラ燃えてきたぜ!」


「うるせえな……」


 サブローは苛立ったように返す。


「さあああ!」


 司会者が叫ぶ。


「準決勝開始です!」


「今大会はリングアウト!」


「ダウンして意識を失う!」


「もしくは死亡!」


「いずれかで決着となります!」


 観客が沸く。


「能力使用も当然可能!」


「参加者の皆様! 思いっきり戦ってくださあああい!」


 開始の音が鳴った。


「開始いいいいい!」


「どいつもこいつもよおおおお!」


 サブローの目が閉じかける。


「俺の!」


「邪魔を!」


「するなあああああ!」


 凄まじい怒気。


「そんな怒気剥き出しの技なんて」


 シノノメが構える。


「流すに決まって――」


「……!」


 サブローが目の前へ来た。


 しかし、動きは怒気とは正反対。


 丁寧で、正確。


 無駄のない乱撃。


「なるほど!」


 シノノメが攻撃を流しながら笑う。


「怒気をフェイントに使ったか!」


「やるねえ!」


「達人だか何だか知らんけどさ!」


 サブローが拳を振るう。


「決勝行くのは譲ってもらうぞ!」


「こっちも弟子が見てる前だからねえ!」


 シノノメも反撃する。


「簡単には譲れないのよ!」


 二人の攻防が続く。


「サブローが少し優勢だな」


 ライトが観客席から呟く。


「いつもより動き良い気がする」


「私は戦闘に関して全然分からないけど」


 ルナが不安そうに見る。


「喜んでいいのかな?」


「……分からん」


     ◇


「お前さん」


 シノノメが攻撃を捌きながら尋ねる。


「能力は使わないのかい?」


「アンタこそどうなんだ!?」


「オイラの能力は戦闘向きじゃないからね!」


「あっそうですかい!」


 サブローが蹴りを放つ。


「おっ!?」


 シノノメの身体が宙へ舞った。


「空中じゃ、そのシノノメ流武術も剣術も使えねえだろ!」


「なるほど!」


「もらった!」


 サブローが腕を振る。


 大量の水が放たれ、シノノメをリング外へ押し流した。


「どおおおおお!?」


「リングアウト!」


 会場が一気に沸騰する。


「まさかのジャイアントキリング!」


「勝者〜!」


 司会者が叫ぶ。


「サブロー・アングリラ〜!」


「うおおおおお!」


「いや〜」


 シノノメは立ち上がる。


「まいったまいった!」


「お疲れさん!」


「なあ」


 サブローが尋ねる。


「ん?」


「アンタの目から見て」


 サブローの表情が険しくなる。


「俺はレオンに勝てるか?」


「今のままじゃ絶対無理だな!」


「即答かよ……!」


「悪いねえ」


「くそ……!」


「サブローだっけ?」


「そうだけど」


「オイラのところで修行してみる気はないか?」


「……何?」


「戦闘部門の決勝は毎回、一か月後なんだ」


「一か月?」


「レオンが『挑戦者とは万全の状態で戦いたい』って決めてるからね」


「…………」


「一か月」


 シノノメは笑う。


「オイラが鍛えてやるよ」


「…………」


「どうする?」


「……分かった」


 サブローは拳を握る。


「少しでも」


「うん」


「アイツを殺せる確率が上がるなら」


「殺すって怖いねえ〜」


「うるせえ」


「まあまあ」


 シノノメが肩を叩く。


「じゃあ今から行きますか!」


 二人はコロシアムを後にした。


     ◇


「サブロー、勝っちゃったね」


 ルナが言う。


「ああ」


 ライトは立ち上がる。


「まあ心配すんな!」


「え?」


「俺が決勝行けばいいだけの話だ!」


「…………」


「レオン倒してサブローと戦わせなきゃいい!」


「無茶しないでね」


「おう!」


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