第四章四話 絶対王者レオン
筋力部門の決勝戦。
「闘うことに関する全ての部門で常に一位!」
司会者の声が響く。
「絶対王者! レオン・ワンズ〜!」
現れた男は、二メートル近い巨体。
ライトよりも大柄で、服の上からでも分かるほど鍛え上げられていた。
「すっげえ筋肉だ……」
ライトの目が輝く。
「俺の筋肉たちが震えてやがる……!」
決勝戦が始まった。
結果は圧倒的だった。
シノノメほどの実力者でも、一位との間には埋めようのない差があった。
「いや〜、まいったまいった〜」
敗北したシノノメは笑っていた。
「シノノメ」
レオンが見下ろす。
「また悔しそうにしていないな」
「そうかい?」
「一番になる気がないのなら、この国から出ていけと何度言えば分かる」
「国王のお前さんにも」
シノノメは立ち上がる。
「いつか分かる時が来るさ〜」
「くだらん」
「そうかい」
シノノメは手を振り、その場を去った。
「レオンって奴、すっげえ筋肉だ!」
ライトは立ち上がる。
「トレーニングについて聞きに行こう!」
◇
ライトがレオンを探していると、意外な光景が目に入った。
「レオン様!」
「サインください!」
「俺にも!」
「私にもー!」
レオンの周囲には、大勢の子どもたちが集まっていた。
「良いとも」
レオンは紙を受け取る。
「順番だ。しっかり並べ」
「はーい!」
「お前たち子どもは、まだ序列とは関係ない」
レオンは一人ずつサインを書く。
「これから何者になるかも決まっていない。好きなだけ鍛え、好きなだけ我を目標にしろ」
「はい!」
「強くなれよ」
「レオン様ありがとう!」
ライトはその様子を見て微笑んだ。
最後の一人へサインを書き終えたところで、ライトが近づく。
「俺の名前はライト・ザック・バーナル!」
「む?」
「レオン! お前の筋肉凄すぎるなあ!」
「貴様は確か、筋力部門でシノノメに負けた小僧か」
「そうだ!」
「貴様の筋肉も潜在能力は凄まじい」
「マジで!?」
「我を越す可能性すらある。精進しろ」
「国王様にそんな口聞いたら駄目なんだよ!」
近くの子どもが注意する。
「え?」
ライトが目を丸くした。
「レオンって国王だったの!?」
「知らなかったのか」
「それはごめん!」
ライトは急に姿勢を正す。
「あ、申し訳ございません〜! か?」
「無理して敬語を使うな」
「よい」
レオンは腕を組んだ。
「貴様は身なりからして旅人だろう」
「そうだ!」
「まだ他に出場する予定なのか?」
「明日の戦闘力部門にも出る予定だ!」
「ふむ」
レオンの口元が僅かに上がる。
「我も出場する」
「お!」
「楽しみにしておるぞ」
「おう!」
ライトは笑う。
「じゃあ、また明日な!」




