三章十三話 夢から覚めた国
その頃、会場のあちこちで人々が目を覚まし始めていた。
「ここは……」
「夢……?」
「俺……何してたんだ?」
エデルの予想どおり、負傷したユメルの力が落ち、夢世界の拘束も弱まっていた。
自力では抜け出せなかった参加者たちも、次々と現実へ引き戻されていく。
「ユメル!」
ライトが叫ぶ。
「全員元に戻せ!」
「…………」
「戻さねえなら」
ユメルを抱える腕に力を込める。
「夢の中で見たカッケェ人のすっごいキツイブートキャンプ、お前にも全部やらせるぞ!」
「どんな拷問だよ……」
サブローが呟く。
ユメルは周囲を見回す。
右手は動かない。
足も負傷している。
参加者は次々と目覚め、逃げ道もない。
「……最悪だ」
小さく呟く。
「本当に」
「運が悪いですねえ……」
ユメルは抵抗を諦め、残っていた能力を解除した。
操られていた人々も解放される。
その後、ユメルは応急処置を受けた上で拘束され、投獄された。
◇
国王も正気を取り戻し、夢集会の実態が国民へ正式に公表された。
国王自身がユメルに操られていたこと。
夢集会の参加者たちが、危険な能力へ晒されていたこと。
さらに、
「夢を叶えることだけを唯一の幸せとする」
という国の方針も見直された。
すぐに国民全員の価値観が変わったわけではない。
それでも。
「夢を追わない人生だってある」
「夢を諦めたからって、不幸と決まったわけじゃない」
そんな言葉が、少しずつ聞こえるようになった。
アルテミア王国は、華やかで芸術に溢れた本来の姿を取り戻し始めていた。




