三章四話 本名を書いてください
「夢集会の受付ってここですか!?」
ルナが勢いよく窓口へやってきた。
「あら」
受付嬢が顔を上げる。
「さっきのお嬢さん」
「あ! ギルティの人!」
「受付嬢だったのか……」
ライトが呟く。
「三人参加でお願いします!」
「かしこまりました〜」
受付嬢が紙を差し出す。
「では、参加者全員の本名をご記入ください」
「本名?」
「ええ」
「何で?」
「夢の神様が迷子になったら困るからです」
「怪しいな……」
ライトが小声で言う。
ルナは三人の名前を書いた。
「はい。確かに承りました〜」
受付嬢は紙を確認する。
「ちなみに、虚偽の名前を書いた場合は即刻ギルティですので、お気をつけください」
「ギルティって何されるの?」
「死にます」
「え?」
「死にます」
「ルナ、やっぱやめない?」
「もう書いたでしょ?」
ルナは受付嬢から参加証を受け取った。
「大丈夫だよ。夢を叶えればいいんだから!」
「嫌な理屈だなあ……」
そこへ、遅れてサブローがやってきた。
「あ、いたいた。受付終わった?」
「終わったよ」
「それならいいんだけど」
サブローが受付嬢を見る。
「この人、昨日のギルティ――」
「何か?」
「何でもありません」
「賢明ですね〜」
「怖っ」
三人が受付を離れると、背後から声が飛んできた。
「当日は遅刻厳禁ですよ〜! 本名で登録したご本人が、必ず出席してくださいね〜!」
◇
宿へ戻る途中、サブローが尋ねた。
「そういや、本名じゃないと死ぬってどういうこと?」
「俺にも分からん」
ライトが答える。
「ただ受付の人、真顔で『死にます』って二回言ってた」
「普通にヤバい集まりじゃん!」
サブローが足を止める。
「ルナ、やっぱりやめよう。嫌な予感がする」
「二人とも考えすぎだって!」
ルナは振り返る。
「冗談に決まってるじゃない」
「いや、あの人、冗談言う顔じゃなかったぞ」
「それより!」
ルナは胸の前で手を合わせる。
「どんな形かは分からないけど……私の夢が叶うかもしれないんだよ」
「ルナ……」
「楽しみだなあ」
サブローはルナの横顔を見つめ、静かに言った。
「分かった」
「え?」
「でも、危険だと判断したら、俺は迷わず二人を連れて逃げる」
「はいはい」
「本気だからな」




