一章十一話 雷少年と笑わない少女
「じゃ、ルナ。俺は旅支度してから国を出るから、ここまでだな」
「そうね」
「短い付き合いだったけど、色々助かったし楽しかったよ。ありがとな!」
「はいはい」
「じゃ、またどこかで!」
「へーい」
二人は一度別れた。
ライトは食料などを買い、鞄へ詰める。
そして、エリシア王国の門へ向かった。
「うっし! 次の国へ――」
「遅い」
「ん?」
門の横にルナが立っていた。
「ルナ?」
「私もさ」
ルナは髪をかき上げる。
「幸せになるために世界を巡ってたわけ」
「おう」
「目的が同じ様なものだし、まあ、ライトが嫌じゃなければ……せっかくだし一緒に行こうかなって」
「…………」
「何その顔は。 ダメだった?」
ライトは笑った。
「そんな事ない! いいぞ!」
「軽っ」
「一人より二人の方が絶対楽しいもんな!」
「そういうところ、嫌いじゃないわ〜」
二人は並んでエリシア王国の門を出る。
しばらく歩いたところで、ライトが何かを思い出した。
「あ、ルナ」
「何?」
「そ、そういえば俺たち……付き合うとか何とかって話、したよな?」
「あー」
ルナは即答した。
「あれ無しで」
「え?」
「私、ライトみたいな熱血筋肉は友達としては好きだけど、恋愛対象外だから」
「…………」
「何?」
「そ、そうか……」
ライトは分かりやすく肩を落とした。
「割とへこむな、これ……」
「デーシッシッ――」
ルナが真顔で途中まで真似し、口を閉じる。
「…………」
「今、リリーの笑い方真似しようとした?」
「気のせい」
「そうか?」
「行くよ、筋肉!」
「名前で呼べ!」
二人の旅は、まだ始まったばかりだった。
ライトはこれから、いくつもの国を巡る。
いくつもの幸せに出会う。
そして、そのたびに何かを得て――。
何かを失っていくことになる。
それでも今はまだ、そんな未来を知る由もない。
二人は次の国を目指して歩き始めた。




