一章九話 初めまして、大切な友達
リリーの家の近くまで戻る。
そこには換金屋の店主と、泣いている少女がいた。
「ライトー! ルナー!」
「あの子が……リリーか」
ライトは心の中で呟いた。
自分の友達。
一週間一緒にいた少女。
リリーがこちらに向かって走ってくるのを受け止める為、ライトは笑顔で両腕を広げる。
しかし――。
「てめええええ!」
「ん?」
リリーを追い越し、店主が猛スピードで突っ込んできた。
「リリー泣かしてんじゃねえぞおおお!」
「え?」
「ごるああああ!」
ドロップキック。
「ぐおおおお!」
ライトが地面を転がる。
「何すんじゃハゲえええ!」
「誰がハゲだ!」
店主は以前より明らかに身体が引き締まっていた。
「あのダンベルキノコ食ってから妙に身体の調子が良くてよ!」
「何!?」
「栄養あるんだろうな! その勢いで筋トレ始めたら、このザマだ!」
胸を張る。
「記念に俺のこの自慢の僧帽筋はキノコ筋と名付ける!」
「誰に説明してんだよ!」
「何となくだ!」
店主は拳を握る。
「この勢いで王のところに行って、養子制度について直訴してやろうかと思ってたところだ!」
「養子制度?」
「リリーの死んだ親父は俺の親友だった」
店主は少女を見る。
「ずっと引き取りたかった。でも今の王になってから、血縁のない孤児を勝手に養子へ迎えるのを禁じられた」
「何でそんな……」
「『新しい家族を得れば、新しい幸せが生まれる』からだとよ」
ルナの表情が曇る。
「だから、リリーは一人で……」
「俺が食事や金の面倒を出来る限りは見てはいた。でも、正式には家族になれなかった」
店主は歯を食いしばる。
「だが、もう我慢ならねえ。捕まってでも王に言いに行こうと思ってた!」
「…………」
「直訴前にリリーの様子見に来たら、泣きじゃくったリリーがいた!!理由を聞いたらおめーが急に居なくなったとか何とか言ってた!だから殴った!!」
「それは悪かったけどもおおおお!」
ライトがドロップキックを返す。
「ぬおおおお!」
店主が吹き飛ぶ。
二人が再び掴み合いそうになったとき。
「やめるでし!」
リリーが叫んだ。
二人の動きが止まる。
「二人とも仲良くしてほしいでし! それに……」
リリーはライトを見る。
「ライトも、急にいなくならないでほしいでし……寂しかったでし……」
「…………」
胸が痛んだ。
記憶にはない。
でも、この子を悲しませたくないと思った。
「……ごめんな、リリー」
「ライト……」
「寂しい思いさせた」
店主を見る。
「おっさんも、いきなり殴り返して悪かった」
「最初に蹴ったの俺だからな。悪かった」
「よし!」
ライトは手を叩く。
「お詫びに、みんなで飯行こうぜ!」
「飯?」
「おっさんも来い!」
「いいのか?」
「俺、今日この国出るからさ。最後の思い出!」
「最後……」
リリーの表情が少し曇る。
ライトは頭を撫でた。
「だから、最後まで楽しく行こうぜ!」
「……うん!」




