第3.27章 巨木の隠れ家とシャイな魔法使い
~「居ません」は居る証拠~
虹色の木漏れ日が踊る魔法の森を、三人は笑顔で歩み続けていました。
すると道の脇に、どっしりと根を張った太い巨木が現れます。
よく見ると…幹には丸くて可愛い木製の扉、小さなガラス窓、そしてふわりと煙が立つレンガの煙突まで付いているではありませんか!
「わあ~っ!なんて可愛いの!おとぎ話に出てくるみたい」
リリスが目を輝かせてはしゃぎ、ルナも隣で頷きます。
「本当だわ!森の精霊が住んでそうな素敵なお家ね~」
仁も興味深そうに首を傾げました。
「こんな所に家が…誰か住んでるのかな?ちょっと挨拶してみよう」
彼は扉に向かって軽く**コンコンッ!**とノックしました。
――するとすぐ、中から元気な女の子の声が響いてきます。
「居ませんよ~っ!!」
「あれ?」リリスがくすりと笑う。「明らかに女の子の声がしたわね…絶対中にいるわ」
仁はもう一度優しくコンコンッ!
「こんにちは~、通りがかりの者です」
「居ませんタラぁ~!!」
少し舌足らずで、ますます可愛らしい返事が返ってきました。
ルナはにやりと悪戯っぽく笑って、扉を指差します。
「ふふっ、間違いないわね。これは完全に『居ます』の合図よ~」
仁は柔らかい声で呼びかけました。
「すいません…。変な目的はないんです。
ただ少しだけ、ここで休ませて貰えませんか?お水も頂けたら嬉しいな…」
「だからぁ~…居ませんテバぁ~っ!!」
その言葉と共に、仁がそっとドアノブに手をかけると…
**きいぃっ…**と軋む音を立てて、扉はあっさりと開きました。
ふわりと温かなハーブの香りが漂い、中から姿を現したのは――
体に合わない大きなブカブカの三角帽子を目深にかぶり、同じくぶかぶかのマントをすっぽり羽織った小さな少女でした!
帽子から覗くピンク色の癖っ毛がふわふわと揺れ、真っ赤な頬を両手で隠してもじもじしています。
「ううっ…勝手に開けちゃうなんて…ずるいです…!
わ…私…この森で一人で暮らす見習い魔法使いのミィなんです…」
三人は顔を見合わせ、思わず優しい笑顔がこぼれました。
なんて愛らしい、シャイだけど心優しい住人に出会えたのでしょう!




