表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/66

第54話 覇王の強襲。物理無双の愛

――ズドォォォォォンッッ!!!


「な、なんだ貴様はッ!」

「第三王子……!? なぜ、こんなところに!」


騒ぎを聞きつけて駆けつけたレオンハルト殿下の私兵たちが、混乱しながらも剣を抜き、殺気立って包囲陣を敷く。


その数は瞬く間に数十人に膨れ上がった。


「(……痛い。殿下が、酷く痛がっている)」


途切れがちな魂のパスの残滓から、断続的に流れ込んでくる感覚。


それは、骨を焼かれるような苦痛。


……そして、私の顔が真っ赤になるほどの、狂暴でドロドロに溶かされそうな強制的な快楽。


私の大切な殿下にいったい何を打ち込んだんですか!?


「……私の殿下に触れたその腕。一本残らず、物理的に叩き潰してやる」


私は、北の魔鉱山から持ち込んだ、泥に塗れた重たく鈍く光る一本のツルハシを両手で持ち、静かに構えた。


私の中にあるのは、亡き父から幼い頃より徹底的に叩き込まれた、実戦用剣技の型。


「狂ったか、第三王子! 構わん、殺せェッ!」


私兵の隊長が叫ぶと同時、数人の重装歩兵が槍を突き出して殺到してきた。


――次の瞬間。


「どけッ!!」


――ドゴォォォンッ!!!


私が踏み込みと同時に横薙ぎに振り抜いた、全身のバネと怒りを乗せたツルハシの全力の一撃。


分厚い鋼鉄の盾と鎧ごと、突進してきた重装歩兵たちの体がひしゃげ、紙屑のように宙を舞って壁へと叩きつけられる。


「なっ……!?」


「ば、馬鹿な! 魔力強化の光が一切見えなかったぞ! 純粋な腕力だけで、防護結界の張られた重装甲を砕いたというのか!?」


私兵たちが、信じられないものを見たかのように絶望的な悲鳴を上げる。


「魔術部隊! 詠唱を急げ! 対象を火炎で焼き尽く……っ!」


後方に控えていた魔術師たちが慌てて杖を構えた、その刹那。


「遅いです」


――ゴッ! という鈍い音。


魔術師の顔面に柄の先端が正確にめり込み、彼は詠唱を完了する前に白目を剥いて卒倒した。


私はそのままツルハシを引き戻す反動を利用し、独楽のように回転する。


ただ力任せに振り回しているのではない。


父から教わった剣の理を応用し、周囲を取り囲もうとした剣士たちの膝裏や手首、装甲の急所のみを的確に粉砕していく。


「ぎゃあぁぁぁっ!」

「あ、足がぁッ!」


「(どこ……どこですか、殿下!)」


私兵を次々と物理的に排除しながら、私は邸宅の中へと足を踏み入れた。


「……下だ。この屋敷の、深く冷たい底から……殿下の気配がする」


途切れがちな魂の繋がりが、それでも明確に目的地を指し示していた。


廊下の先から、さらに増援の兵士たちが湧き出してくる。


でも、止まらない。


私は泥だらけのツルハシを肩に担ぎ、立ち塞がる者すべてを無慈悲に薙ぎ払いながら進む。


「待っていてください、殿下。……今、助けに行きます!」


私は、愛する人が囚われている屋敷の地下深くへと、一直線に血路を切り開いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ