6話 儲け話し 3
久し振りの投稿です。
メイヤー大尉はマヤ一等兵の歩調に合わせて街並みを歩いて行く。
「そう言えば、名前で呼ぶってシュタイン?メイヤー?どっち?」
マヤ一等兵は敬語を止めてなるべく砕けた話し方をする。
「家名のシュタインでは堅いからな、メイヤーでいいぞ」
メイヤー大尉はそう答える。
(え、え?急に言われても!)「メ、メイヤー?」
「何だ、マヤ?」
「・・・・・!」
マヤ一等兵は声に出さずに悶絶する。
「街の視察って具体的に何処に行くの?」
「ダウン街だな」
「え~!あそこってスラムに近くて治安も悪いd・・悪いよ?」
マヤ一等兵は思わず、です・ます口調になりかける。
「視察というのは実は建前でな、会いたい人物が居るんだ」
「???」
2人はなるべくカップルに見えるようにと、買い食いなどしながら歩いて行く。一部の屋台の店主等はメイヤー大尉のことに気付いていたようだったが話し掛けてくることは無かった。
そうして20分ほど歩いて2人は目的地のダウン街にたどり着く。
「マヤ一等兵、拳銃盧確認をしておけ。そして自分が『撃て』若しくは『暑いな』と言ったら躊躇せずに撃て」
マヤ一等兵はメイヤー大尉の口調が何時ものものに戻ったことに気が付いた。
「了解しました」
ダウン街に入って5分くらいすると、細い路地に入り昼間だというのに薄暗く感じられるようになり、空気が変わった。
コツン!
陶器製の瓶が転がって来る。そこに2人が視線を向けると数人の男達が居た。
「おうおうおう!ここがガルマ一家の縄張りだって知ってて入って来たのか兄さんよ!」
リーダーらしき男が、スラムに存在する犯罪組織の1つの名前を出して威嚇してくる。
「通行料って物が有るんだよ、有り金全部置いていきな!」
「そ、それか、その女でも良いんだな!」
「馬鹿!金をせびって出させてから追加で要求すんだよ!」
「そ、そうだったんだな!」
リーダーの取り巻き達が頭の悪い話しをしている。
「・・・・ここはドルーア親分の仕切りだった筈だが?」
「「「!!!!」」」
男達が驚いたような顔をする。
「な、何で知ってるんだな!?」
「馬鹿!黙ってろ!」
男達が狼狽する。
「これはドルーア親分も知ってる事かな?だとしたら勝手に縄張りを変えないように言わないとな?」
メイヤー大尉が追い打ちをかける。
「ド、ドルーア親分の名前を出せば俺達が逃げるとで・・・」
「いいえ。その者達はウチの構成員では有りません」
リーダーの声に被せるように新たに女性の声がした。そこには長い黒髪の男装の麗人が複数の明らかに堅気では無い黒服の男達と居た。
「父の、ドルーア当主の配下にあのような不潔な者達は居ません。全くの無関係です。メイヤー大尉様」
突然な展開に最初の男達が狼狽えている。マヤ一等兵も視線を右往左往させている。
「これは、これはスミレさん。ドルーア当主の次女さん直々にお越し頂くとは申し訳ない」
「いえ。配下の屋台の店主から大尉様がこちらに向かっているとの報せを受けて、家の者達とお待ちしていたところ何やろ不穏でしたのでお声を掛けさせていただきました」
そう言うと女性は、メイヤー大尉達を恐喝しようとした男達に凍りの眼差しを向ける。どうやら、街を散策していた時からメイヤー大尉達の動向を把握していたようだ。
「始末しなさい。それとガルマにも使者を送っておきなさい」
女性の命令で男達が、恐喝男達を拘束していく。逃げようとした男もあっさりと殴り倒されている。
それを尻目に女性はメイヤー大尉達に視線を向ける。その眼差しからは先程の冷たさは消えていた。
「それで本日はどのような御用件で?」
「ドルーア当主に少し話しが有りまして、こうしていればお家の方々にお会い出来るかと思いましてね」
メイヤー大尉は言外にドルーアの手の者が自分達を見付けるように仕向けた、と言った。女性は一瞬驚いたような顔をした。
「我が家をそんなに持ち上げましても何も出ませんよ?」
「お茶菓子くらいは出るでしょう?ドルーア当主程の格であれば。それで当主には本日お会い出来ますか?」
「メイヤー大尉様程の方でありましたら他に要件がありましても優先させていただきます。どうぞ、御一緒に。そちらのお嬢さんは大尉様のお連れ様でしょうか?」
「ええ、部下のマヤ一等兵といいます。自分の護衛です」
「なるほど」
一瞬、黒髪の女性、スミレとマヤ一等兵の間に火花が散ったがメイヤー大尉は気付かない素振りをして案内するスミレに続いた。
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