5話 儲け話し 2
久し振りに集中したく、書いてみました。文章に集中すると気分転換になります。
「お待たせしました、大尉」
メイヤー大尉は既に門扉跡に来ており、深緑色の長ズボンに黒色のポロシャツのような上着を着て、帽子で顔を隠していた。
「いや、私も今きたところだ」『なんだか前世の古いラブコミみたいだな』
メイヤー大尉は顔に出さずに平然と答えた。
『ちょっと、ちょっと!隊の誰かが本国から取り寄せた最新の淑女小説みたいじゃないのよ!!』
マヤ一等兵はメイヤー大尉に背を向けて顔を真っ赤にして両手で頬を押さえて悶えた。
「その、何だ?マヤ一等兵、ワンピース姿が似合っているな」
メイヤー大尉は前世からの乏しい異性とのコミュニケーション経験談から褒めた方が良いと考えた。
「マヤ一等兵の銀髪に蒼色が映える。ポーチもホワイトか落ち着いた感じを受ける、中身は?」
「あ、は、はい!武器庫で578式を受領して入れるつもりです!」
マヤ一等兵は自分の物ではないが容姿が褒められて今度私物で購入するかな?と考えている時に話しかけられて反応が遅れた。
「そうか、578式の10mmは少女には辛いだろう。鹵獲品で悪いが連邦製の9mm拳銃だ、最悪は放棄しても構わん。君たち用に小口径拳銃の申請が必要だな」
そう言ってメイヤー大尉は先ほどの戦闘でプガチョフ大尉の遺品となった拳銃を渡す。
「り、了解しました!」『え、嘘、これってプレゼント?プレゼントよね!?』
ブカレスト帝国の片田舎から出てきた娘とはいえ、家族や周囲からも期待されていなかった珍しくもない田舎娘には理不尽なまでに厳しいはずの軍の上官から優しい言葉をかけられて混乱していた。
「それでな、マヤ一等兵。先ほど述べたようにこれからの用事には軍人としての肩書きは不要だ。よって民間人に露見しないよう街中では私を『大尉』では無く名前で読んで欲しい。私も『マヤ』と呼ばせて欲しい、年頃の娘には酷かも知れんが」
「そ、それは・・・」『イ~ヤ~ッ!これってプロポーズなの?』
マヤ一等兵の思考は完全にパニックになっていた。この世界、この時代、科学技術が発展してきたと言っても田舎や辺境だとそこの住人は自分達の町や村から一生出ることなく生涯を終えることも珍しくない。
ましてや、統一した教育制度など有ろうはずも無く、限られたコミュニティの中での出来事がそのまま住人達の世界なのだった。そして彼女達は年端もいかない少女達ばかりが集められたかなり特殊な集団だ。異性に関する間違った知識などが混じり合いどのような思考が育つのかは後世の貴重な教育資料になる・・・のか?
「落ち着け、この馬鹿!」
マヤ一等兵の頭に鉄拳が落ちる。
「ピニャ!!」
「カリーナ三等軍曹か、どうした?」
マヤ一等兵にゲンコツしたのは、姐さんことカリーナ三等軍曹だった。
「いやですね?この世間知らずのポンコツがパニックってないか心配で様子見を・・・そうしたら案の定だったのでつい手が」
「・・・?そうか?ならば君も来るかね。待機中だったようだし、その服装ならば問題あるまい」
メイヤー大尉が提案する。
「止めておきます。後ろ弾を喰らいたくないので」
「うん?」
メイヤー大尉の背後ではマヤ一等兵がカリーナ三等軍曹に対して、呪詛を含んでいそうな視線をとばしていた。そんなマヤ一等兵を引き摺ってメイヤー大尉から離れるとカリーナ三等軍曹はマヤ一等兵に何事か吹き込んでいるようだったがメイヤー大尉は年頃の娘達の話し、と無視したのだった。
「メイヤー、お待たせしました。私はもう大丈夫です」
「そうか、では出掛けルとしよう」
「そういえば、どちらへ行くのですか?」
「それはまだ言えないんだ」
そう言ってメイヤー大尉は歩き出し、マヤ一等兵も慌てて後を追い掛けた。マヤ一等兵が腕を組もうとして失敗したのは太陽以外誰も見ていなかった・・・はずだ。
読んでもらってありがとうございます。不定期になりますけど応援宜しくお願いします。




