異世界から来た青年はどうやらピエロの親殺しをお手伝いするようです。19
「さて悪者。」
「酷い言われようだ。」
「じゃあ何て呼べばいいんだよ?」
「裏オーナー、と言ったはずだが・・・・あぁ、そういえば君は知らなかったね。」
「それは名前じゃねぇだろ?」
その言葉を聞いた裏オーナーはハトが豆鉄砲を食ったように目を大きく開き、口をあんぐり開けると、狂ったように笑い始めた。
「ククククッ。君もなかなかに酷な事を言うね。私に名を名乗れと言うか・・・。では、私が名を名乗ったとして、君はどうするのかな?」
「呼ぶだけだけど・・・それ以外何かあんのか?」
「なるほど。君はどうやら、クラウンという男の事を何も知らないようだ。」
「何でそうなるんだよ?!」
「ほら、それだ。その反応こそが、君がクラウンを知らないという一番の証拠だ。そしてそれは、クラウンが君をどう思っているかさえも当てる。」
「・・・・・。」
レべスは何も言い返すことが出来ない。
当たり前だ。
よく考えてみれば、レべスはクラウンという男の事を知らないのだから。
レべスにしてみれば、様々なクラウンを見てきたはずだったが、その中に、クラウンと思われる男は存在していなかった。
出会いは可愛らしい少女の姿をしたクラウン。その次はキザな紳士?クラウン。そして、闘技場で無双しているピエロ、クラウン。可愛らしい少女の姿をしたクラウンが、さらに変装したランという人物。今だって、道化師としてのクラウンが血塗れになって倒れていた。
よく、
全部含めてお前だろ?
的なセリフで、わずかにあった溝が埋まったりだとか、壁が壊れたりだとかして、さらに友情が、絆が堅くなっているが、そうではないのだ。
確かに根本的には全てクラウンという人物なのだが、そうではないのだ。
クラウンの場合、その全ては意図的に作り上げられ、それは、壁を作るためでもなければ、自分を隠すためのものでもない。
単に、スムーズに物事を進めるためのものだ。
が、クラウンの本名すら知らないレべスがいるということは、つまりそういうことなのだ。
クラウンが物事を進めていく上で、レべスに本名を知られると、スムーズに進まない。
そして、クラウンが今進めるべき物事は、裏オーナーを殺すこと。
もう答えは出ただろう。
裏オーナーを殺す際、クラウンがレべスに本名を知られるとそれが阻まれる可能性が出てくる、というわけだが、クラウンにとって、それは避けたいことなのだ。勿論、レべスが友だから、という理由ではない。
レべスまで始末しなければならなくなると、めんどくさく、何より、そこで戦力、クラウン自身の体力や魔力を削がれるのは御免なのだ。
「さて、君がどう思われているか知ってもらったところで私から、1つ提案がある。」
「・・・・・。」
「君、いや、レべス君。コチラ側に来ないかい?」
ヒュー
どこからか静かに風が吹き、僅かにレべスの髪が揺れた。
本日22時までにもう一話投稿する予定です。




