異世界から来た青年はどうやらピエロの親殺しをお手伝いするようです。18
「私が言った言葉の意味、わかったってこと?」
「あぁ。わかりやすいヒントをありがとう。」
「それで、気付いたアナタはどうするの?」
既に妖精であることも、ティル自身が、精霊界の主脳部であることも完全にバレているとなると、ルイとして振る舞わなくとも良いということになる。
そのため、ポンッと軽い音を鳴らし、ティルは人界でのティルの姿____つまり、レベスと出会い、ルイとなるまでの、小さな妖精の姿になった。
「簡単な事だ。私も彼を__クラウンという1人の道化師を再び、次はただの人間として殺すまでだ。」
「・・・・そう。ねぇ、もし、もしも、だよ。」
「どうしたのかな?お嬢さん。」
「私が、何を、とは言わないけど“変える”って言ったら、どうする?」
「好きにするといい。それに、もとよりそれらのことについて、私は__私達《この世界の住人》は本来、口出しは愚か、干渉することすら許されないのだから。それに____」
ほんの、ほんの少しだが、裏オーナーは悲しげに、儚げに笑った。
「もしもアナタ様が運命だとしても、私達の運命は変わることはないだろうからね。」
「ごめん。」
「何故謝罪するのかい?確かにアナタ様は運命ではあるが、彼女が、そう簡単に好きにはさせてくれないのだろう?」
「・・・・。ねぇ、どこまで知ってるワケ?」
眉間にしわを寄せ、ティルは険悪になる。
「なぁに、お嬢さんを笑わせるための冗談だ。そう怖い顔をしないでくれ。」
「そういうことにしておいてあげる。」
「ありがとう。」
そっぽを向いたティルがかなり上から目線でそう言ったが、ティルの本来の立場を理解している裏オーナーにとって、それは当たり前であり、しかし、その幼さを感じさせる態度がまた、どうにも恨めないため、裏オーナーは思わず苦笑した。
バコン
大きな音とともに、扉の奥からは「痛ッてェェェェェ!!!」という何とも情けない声が聞こえた。
ティルと裏オーナーは、初めこそその音に驚き、思わずそちらを向いたものの、その声が上がった瞬間、扉の奥にいる人物を特定すると、裏オーナーは、あぁ、彼か。と心なしか嬉しそうに笑い、ティルは、呆れ顔で扉の方を見ていた。
「ふざけんなよ!!何だよこの扉、全ッ然吹っ飛ばねぇじゃねぇか!!!」
「ねぇ、何を想像してたの?」
「ほら、アレだよ。何か扉を蹴ったらバコーンって吹っ飛ぶヤツ。」
「それで扉を蹴ったはいいものの、扉が壊れるどころか、レベスの足が壊れるところだった、ってこと?」
「よくわかったな。」
「それくらい、誰でも想像つくよ・・・・。」
レベスがティルと合流したその時からこの騒がしさ。
その様子を勿論裏オーナーもみているわけで、「やはり彼は興味深い。」と再び仮面をつけた。
「さてさて、俺がいなくては寂しかったか?ティル。」
「そんな訳ないでしょ。っていうか寧ろ来なくても良かったね。」
「ツンデレなんだろ?そうなんだろ?大丈夫だ。俺はわかってい____」
「素直な感想だよ。」
「クッ」
今ここに、正義の味方・・・・になれる実力があると信じたい男が現れた。
次回、7月31日(日)に投稿予定のものは、8月6日(土)の22時ごろに変更します。
8月7日(日)の投稿については、これまでと同じく、19時を予定しております。




