異世界から来た青年はどうやらピエロの親殺しをお手伝いするようです。16
時は遡り、レべスが丁度この部屋を出ていった頃。
「チェックメイト、か。ククッ、そんなにも私を笑わせたいのかい?流石は道化師。面白い戯言だ。」
「それはあなたも・・・同じような者でしょう?」
「「フフフフフフフフフ」」
「似た者同士、ね。ホントに。あぁ~、鳥肌立ちそう。」
はたから見れば、可笑しな仮面をつけた男と、いかにも怪しそうな男が、どう考えても狂っているようにしか見えないその笑いは、気持ち悪いを通り越し、もはや、不気味ですらある。
愛想笑いではないが、楽しそうな笑顔でもない。ただ、相手を挑発するためだけに向けている冷笑的で、演技的な笑いだ。
「さてさて、せっかく君から面白いことを聞いたんだ。私もそれ相応の礼をしなくてはならないね。あぁ、それと、自己紹介が遅れた。私はここの、本当の意味でのオーナーだ。裏オーナーとでも呼んでくれ。」
「何をおっしゃる道化師さん?」
「「ハハハハハハハハハ」」
またもや嘘の笑い。
その光景にティルは、すでに不気味さを超え、呆れまで感じ始めたころ。ティルにしか感じ取れないほど、僅かにだが、魔力が変わった。いや、変わったというより、もう一つ増えた、と言ったほうがいいだろう。だが、ちらりとその方向に目を向け、確認すると、そこにあったのは血だまりのみ。まさか血だまりがいきなり魔力を持つなどとは考えにくく、しかし、1つ増えた魔力に関して、何となく感じたことのある魔力に、あれは間違えるはずがないとティルは1人、困惑していた。
「ん?あぁ、何か面白い仕掛けでもしたのかな?」
「仕掛けなんて・・・たいそうなものはおりませんよ。」
「そうかい」
「えぇ・・・。」
そして戦いは唐突に続きを始めた。
「君は魔法を使わないのか?どちらかと言うと・・・と言うより、圧倒的に魔法戦の方が得意だろう?」
「誰が魔法を使っていないと言いましたか?」
突如、裏オーナーの足元に展開された魔法陣から炎の柱がたち、裏オーナーを覆った。それを見たクラウンは再び刀を構え、腰を回して自らの背後に現れた者に切り付けた。
カキン
金属音が響き渡り、刀と刀が火花を散らし、交錯する。
「そういえば、君はこういう人だったのを忘れていたよ。いや、本当に危なかった。」
「そう言っている割には傷1つ見当たりませんが?」
「・・・・・・あぁ、許可する。っと、すまないね、鼠が2匹_____いや、小さな虫が2匹大切な部屋に入ってしまったようでね。今その2匹の駆除を頼んだところだ。傷に関してだが、一応あるさ。見てくれ、服が少々焦げ付いた。」
そう言って、裏オーナーは黒い袖が焦げているのを見せたが、正直、パッと見、あまりわからない。
「本当に、イラつくことをしてくれますね。」
「それは君もだろう?」
キリキリと軋む刃は未だに離れない。
だが、裏オーナーは気味が悪いほど二ヤついており、ここで何か仕掛けてくると直感でわかったクラウンは間を取ろうとした。だが_______
「あいにくここで逃がしてやれるほど、私は紳士的ではないのでね。それに、そろそろ君の出し物も尽きてきた頃だろう。潔く、ここで終わりにしようか。」
パーン
「やはり、あなたが・・・嫌い、で、すね・・・。」
目の前には銃口。耳には銃声が遅れて聞こえた。
どこからともなく現れた拳銃に、クラウンは打ち抜かれ、口から血を吐いて倒れた。
「ほんと、嘘みたい。」
ぽつりとティルは呟いた。
※7月17日(日)の投稿は、7月20日(土)の22時に移ります。
尚、その後7月21日(日)の19時の投稿は予定通り行います。
ご了承ください。




