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異世界から来た青年はどうやらピエロの親殺しをお手伝いするようです。9

「避けてるだけじゃ、何も変わりませんよ。そろそろ死んでくれませんかねッ!!」

「・・・・。」

「黙ってないで攻撃の1つ位したら、どうですッ!!!」

「・・・・。」


そうクラウンが何回呼びかけようと、オーナーが返すことは無い。寧ろ、考え事ばかりしており、無意識で避けている、というような感じだ。

しかし_____


「避けてばか____!?」

「そう、か。そういうことか・・・・。」


オーナーは避けることを忘れ、急に立ち止まり、それに驚いたクラウンもまた思わず足を止めてしまった。だが、思いもよらないオーナーの急ブレーキに、クラウンの刀はオーナーの頬にかすり、オーナーの頬から血が垂れる。

しかし、余程重大な事に気がついたのか、血を垂らしていたことに気付くことなく、クラウンの方を向いて言った。


「これは_____無意味な戦いだ。もうやめよう。」

「なッ!」


オーナーは、とても複雑そうな顔をしていた。







     ※     ※     ※







「うーん・・・・。」

「なに唸ってんの?止めてよ。気味が悪い。馬鹿が考え事するとか・・・・・。まさか______」


ティルはレベスから数歩離れ、口に右手を当ててレベスを左手で指差す。


「______世界のことわりを変えるつもり?」

「酷いな、コラ。俺はそんな馬鹿に見えるか?ってか馬鹿でも考え事くらいさせてくれ。」

「馬鹿って認めたね。フッ」


レベスのその言葉を待っていたと言わんばかりに嬉しそうな顔をした後、わざわざ背伸びをし(背伸びをしなくてもレベスよりティルの方が今は大きいが)、よりレベスを見下ろす形で鼻で笑った。


「くっ、流石Sきょ____」

「それはもういい。」


・・・・。

そして、レベスは本日2度目となるティルの拳を受けていた。

今度は顔面で。


「イテテ、ティルさんマジ辛辣・・・・じゃなくて!」

「えっ?まだ足りないの?」


話を戻そうとしたレベスの言葉は、先程の“S極”、つまりティルさんやだなぁSっ子ね(はーと)という言葉にブチッと堪忍袋の緒は切れており、俗に言う『目が笑ってないよ』という状態にあるのだ。

そして、いち早くそれを察知したレベスは正座し、笑顔でティルに言う。


「話し合おうぜ、な?あっ、牛乳とか小魚足りてないのか?それなら______」

「足りてるけどナニカ?」


どうやら、その言葉は余計ティルの怒りを買ってしまったようで、ティルから3発目をくらっていた。






数分後



「で、何で唸ってたわけ?」

「いや、気になることが1つ、いや2つ、あ、ちょっと待って3つ、あっ___」


指を折ながらティルに話そうとしている事をまとめていたが、いつか絶対数字を言うことだけに楽しみ、キリがなさそうだと一瞬にして悟ったティルは、レベスの言葉を遮る。


「もう何個でもいいから早く言って」

「了解です」


つい数分前まで苛ついていた事もあって、殺気と怒りが滲み出ており、それを感じたレベスも逆らうことなく、話すことにした。


「1つ、何故俺らに悪者を成敗してくれ、なんて言ったのか。」

「そりゃ、成敗してほしかったからじゃないの?」

「1つ言っておく、俺はクラウンより明らかに経験が少ない。」

「まぁ、レベスは童貞だもんね」

「そうじゃねぇよ!!そうだけど!」

「?」


レベスは顔を真っ赤にしながら声を荒げ、ティルはわざとなのか、そうでないのかはわからないが、とても純粋な顔をしてコテン、と効果音がつきそうなくらい可愛く顔をかしげた。


「あぁー、言葉が足りなかったな。うん。えっと、戦闘経験、な。俺がクラウンより少ないのは。」

「まぁ、そうだね」

「なのにだ、何故そんな事を俺に頼む?しかも、今ここにいるんだろ?あいつ。そんでもって今戦ってる」

「んで2つ目。アイツは言ったんだろ?『そうでもしないと出て来ないのですよ。彼と言う人は』とか何とか。何で“彼”って言った?オーナーって言えばいいだろ。もうバレてるようなもんなんだから、っと。何すんだよ」

「進むなら前にして」

「あっ、はい」


レベスは右に左に止まることなくぶらぶら歩きながら考え事をしているが、ティルはどうにも気にくわないらしく、また右に歩こうとしたレベスを止め、前に進むよう指示した。 


「では3つ目。1つ目と同じような感じだけど___」


ゴホン、咳払いを1つして、話を元に戻し、少し間を空け言う。


「何で今なんだ。俺が異世界ここに来る前から、殺すことなんて何時でも出来ただろ。アイツ強いし。それは今じゃなきゃいけない何かがあるって考えてもいいだろ?」

「で、最後」

「何でわざわざ同じ名前で、容姿だけ変えて俺らの下に現れた?普通、バレたくないんだったらそれは一番やっちゃいけないことだろ。いくら雰囲気が違ったとしてもアノピエロだぜ?俺はともかく、ティルならすぐ見抜くだろ。それこそティルは魔力で判断してるわけだし、お前がみえてるピエロがそんな馬鹿なことはしないだろ。結論___」


レベスはそこでティルの方に振り返り、キリッと決め顔1つして言った。


「_____アイツは全部知ってるんだよ。で、その上で戦ってる。それが何かはわかんねぇけど、つまり、この間に俺らがしなきゃいけないことは、本当の暗躍者を探し出すことだってことはわかる」


ティルが立ち止まった時に出た足音が、妙に響いて聞こえた。







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