異世界から来た青年はどうやらピエロの親殺しをお手伝いするようです。8
今回は色々進展しすぎてもはや笑えるレベルです。
後々詳しく説明していくつもりなので、「意味わかんねぇ」と笑っておいて下さい。
「憎いほど会いたかったですよ」
「私もだ」
クラウンとオーナーは互いの言葉に思わず口角を上げる。その目に宿るのは湧き上がる殺気と憎悪。
その姿はとてもよく似ていた。双子、とまではいかないものの、兄弟のように似ている。だが実際、年の差は結構ある。クラウンは20代前半で、オーナーは40代後半だ。
「さて、それでは教えて貰いますよ。」
「さて、君には教えてもらいたいことがある。」
同時に発された言葉にイラつきつつも、互いにあくまでも冷静を装い、笑顔を崩したりはしない。
「被らせんなよ」
・・・・・・・こめかみがピクピクと動いているのは見なかった事に、ぼそりとクラウンの口から出たその言葉は聞かなかった事にしよう。
「君でしょう?______」
「貴方ですよね?______」
そしてまたセリフは被る。
だが、問題はそこではなかった。ただセリフが被る程度ならば、クラウンの丁寧語が多少崩れるくらいで済み、オーナーの貼り付けた笑顔が一瞬真顔に戻るくらいで済んだのだろう。
その後に続く
「妻を殺したのは・・・・。」
「母を殺したのは・・・・。」
という、同じ意味を指す、立場のみが違えた言葉さえ無ければ・・・・。
「どういうことですか?妻を殺された?ハハハッ。嘘を吐くな、見苦しい。殺したのは貴方でしょう?_____父さん。」
いち早く反応したのはクラウンの方だった。
今まで、少しも笑顔を絶やさなかったクラウンが、表情を表に出すことのなかったクラウンが、ここで初めて怒りを露わにしたのだ。瞳の奥に隠してあった憎悪は隠れることを忘れ、常に身に着けていた冷静さも剥がれ落ちた。
「それは、こちらのセリフの筈だがな・・・・。_____クラウン。」
だが、それはクラウンに限った話ではなく、オーナーもそれと同じモノを抱き、ただクラウンと異なるのは、そこに、困惑があったこと位だ。
そもそも事の発端は数年前。
※ ※ ※
その日は雨が降っていた。
雷雲を引き連れて、激しい雨が降っていた。
枝は折れ、花は落ち、風向風速計は激しく回っていた。
息子、クラウンは、大きな物音を聞き駆けつけると、雷の光と共にみたのは赤く染まった母親と、嘲笑うような仮面を被った父のような人物である。
同時刻
オーナー、つまり、クラウンの父もまたそれと同じ光景を目にし、ただ違うのは、それがオーナー本人の姿でなく、クラウンの姿だったということだ。
勿論、家族間に亀裂など入ってはいなかった。寧ろ、とても仲のいい家族だったと言える。
何故この様なことが起きたのかは未だわからず、互いに憎悪が芽生えただけだった。
※ ※ ※
そうして、現在、この様になってしまったのだ。
「まぁ、その様な訳のわからないことをあなたが仰ったとしても、やることは変わりません。母の仇、取らせていただきます。」
「待てっ____」
オーナーが何かを言う前に、クラウンはステッキの形をした仕込み刀を抜くと、目にも留まらぬ速さでオーナーの急所のみを狙い、以前、レベスと戦った時とは異なり、魅せる為の戦いではなく、確実に相手の息の根を止める戦いが始まった。
※ ※ ※
「お前がいるってことは、いるんだよな?あの僕っ娘も、なぁ、なぁ?」
「うるさい。っていうか、僕っ娘じゃなくて、僕っ子だけど。」
「えっ?何だって?やだなぁ、クラウンが僕っ子?それただの男の子だぜ?ナイナイ。だって、太ももちらつかせて無意識に男を引き寄せちゃうM極ぞ?」
「M極って・・・・・・。」
ティルは何時もの呆れ顔でレベスに言った。
レベスとの合流を果たしたティルは、恐らくクラウンがいるであろうオーナー室に向かっていた。
「因みにお前はSな。俺はNだからさ、健全なるNだからさ、M極に引き寄せられる訳よ」
「馬鹿。」
「流石Sきょ____」
S極、とレベスが言う前に、ティルはレベスの鳩尾に一発入れた。何時もの事ながら、なかなかの威力である。
「ティルさんマジ辛辣。」
「私は“S極”何でしょ?それくらい褒美として受け取っときなよ。自称Nめ。どこがノーマル?ただの変態じゃん。」
「やだ、根に持ってる。」
レベス、ティルがクラウンを見つけるまで後少し。
クラウンが真実に辿り着くのも、後少し。
それまで自分の信じた道を止まることは、誤った道を引き返すことは出来ない・・・・。
次話は明日、5月22日(日)の18時、これまで通り行います。




