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異世界から来た青年はどうやらピエロの親殺しをお手伝いするようです。1

「さて、ではこのピエロのお願い、聞いてもらおうか」

「難しいのとか、勘弁ですからね」

 

対戦を終え、時間を開けた後、レベスは3錠目の薬を飲み、順応した。そして、順応し終えたレベスの元には、絶対的王者であるクラウンが、レベスに勝利した報酬を受け取りに来たのだ。


「な~に、簡単な話さ。正義の味方(騎士くん)に、悪を成敗してほしい。」

「悪?あっ、わかった。じゃあ、先ずは下見って事で付いて来て下さいよ。」

「ま、まぁ、いいだろう」


クラウンは、レベスのその答えに驚きを隠せなかった。

悪、という条件だけでは、多すぎて処理出来ない。ましてや、クラウンの考える事だ。悪といっても、必ず、クラウンにとって成敗してほしい、特定の人物がいるはずだ。そしてレベスは、その人物を探し、成敗しなければならない。

相当難しいであろうこのクラウンへの報酬だが、レベスは不思議と、迷うことなくクラウンの求めているであろう悪役____ある人物が脳裏に浮かんでいたのだ。


「ってか、アノ依頼ついても断らないとな~。・・・・あれ?クラウンどこ行ったし。ティル、知ってる?」

「ハッ、私が知ってる訳ないでしょ」

  

メトロで有名なサーカスへ再び訪れていた一行だが、そこへつく前に、何故かクラウンは姿を消してしまった。


「あ、あの~」


と、そこに現れたのは何時か見た金髪の少じ____女性だ。道でぶつかっただけの仲だが、レベスが覚えていないはずがない。


「いつぞやの子ど・・・・美少じ・・・・。」


レベスはかつて出会った、子どもではない、年齢的には先輩である女性の名前をとっさに思い出せるわけでもなく、見た目で判断し、呼ぶには無理しかない。見た目は完全なる子供の姿で、寧ろ、これで大人の女性と判断出来たならば、全ての幼児除く子供が大人になってしまいそうだ。ただ背が小さいからではなく、大人特有の何というのだろうか、貫禄というかオーラがないのだ。と言っても、レベスより年が上なだけで、子供ということには違いないが。


「その、先程くらうん?という人からついて行くよう、頼まれた者なのです!!宜しくお願いするのです!!」

「あっ、ハイ。・・・・えっ?何だって?」

「悪を撲滅するのです!!!」


きらきらと輝く笑顔で言った言葉は、余りにもその笑顔とはかけ離れていた。


「えっと、レベス。宜しく」

「私はティル。」


人の中でも、ティルが見えるのはほんの一握りの人。そのため、レベスに続いて自己紹介をしたティルだが、そういえば言う必要ないじゃん。と少し後悔していた。自分が他人に認識されないとわかっていて、自分から他人に認識されようとすると、後で、とても虚しくなるものだ。


「わかりました!レベスさんと、ティルさんですね!!僕はクラウン。クラウンと言う者なのです!!」

「私が見えてるの?」

「見えてはいけないのですか?」

「い・・いや、別にいいけど。その・・・ティルさんって何か違和感あるから、ティルって気軽に呼んで」

「はいなのです〜!」


ティルは、レベス以外に認識されたのが嬉しかったのか、ふわりと柔らかい笑みを零した。そして、それにつられるように、レベスも無意識に口角を少し、上げていた。






*     *     *






「あぁ、レベスさん2日ぶりですね。さて、依頼をお受けになられるか聞きたい所ですがその前に、そちらの方は?」


メトロにあるサーカス団のオーナーは、いつもの全身真っ黒な燕尾服を着こなし、白いステッキを手に持って金髪美少女______クラウンをじっと見つめ観察した。


「あぁ、俺の連れです。代理ですけど。」

「ふむ、まぁいいでしょう。それで、依頼については?」

「あっ、それなんですけど、断ります。」


レベスはキッパリと断り、それを聞いたオーナーは、少し顔を歪めた。よく見なければわからない程度だったが、レベスにはそれがはっきり見えた。


「それはなぜ?」

「いきなり会ってもない人を殺せだなんて、一応。俺殺し屋やってるわけじゃないんで、無理です。その依頼は、殺し屋に頼むか、もしくは、貴方程の人なら、自分で出来ますよね?」


レベスはオーナーを見たときから、何となく、この人はとてつもなく強いだろうと思っていた。レベスが負けたピエロくらい、もしくはそれ以上に。予想でしかなかったソレは、2日前のサーカスを見たとき、そして、ピエロと戦った時から確信へと変わっていたのだ。


「それは残念です。まぁこうなることは予想出来ましたが、まさか自分で()れと言われるなんて、面白い人ですね。」

「じゃあ、そう言うことで。帰りますね。実は俺も、断れない厄介なお願いをされてしまったんで。」

「そうですか。それではまた、会いましょう。」

「はい」


レベスは依頼を断ると、斬りつけられたりするものだと思い込み、いつでも戦闘可能な状態にしてはいたが、それは杞憂だったようで、内心、何事もなく終わったことにほっとしていた。そして、金髪美少女を仲間(仮)にしたことで、テンションMAXで建物を離れた。


「ところでクラウンってさ、全身真っ白の・・代役を頼まれた人と知り合いだったりする?」

「なぜなのです?」

「いや、そいつもクラウンって名前だったから」


レベスがそう言うとクラウンは手を組み上を向いて、運命なのです〜〜〜!!!と興奮していた。

それには引いたレベスとティルだが、顔に出さないよう、口角を上げろ上げろと自身に念じていた。結果的に苦笑いになってしまったが。

















「あぁ、依頼が断られた。さて、それじゃあ依頼を断った報いを受けてもらわなければいけないね。レベス。この世界において、人ならざる者よ」


黒の燕尾服を着た男は、仮面を被り、白のステッキを持つと、静かに立ち上がった。



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