異世界から来た青年はどうやらピエロに全力で挑むようです。4
投稿、遅れてすみません。
これからは、毎週日曜の18時で統一していきたいと思います。
何かあればお知らせ致しますので、どうぞ、今後ともよろしくお願い致します。
「さて、49秒で俺は何ができるか・・・・。」
ティルの力を借りず、レベスのいた世界での姿になったレベスは、限られた時間と、狭まった戦術でクラウンにどう勝利するか、思考していた。
ショータイム、とか何とか言っちゃったし、しかもどや顔したし、これは勝しかないな。
でも、まず魔法は使えないだろ。
んで、ただの不意打ちとかも効かねぇし、多分、悪戯に攻撃したところで無意味。時間の無駄だな。
でも俺が今出来る事と言えば、夜叉刃丸を使った攻撃と・・・・・な、殴る事か?あと、精神攻撃・・的な?
・・・・・。
そこでレベスは気がついた。
やべぇ、何も思いつかない。
と。どの方法を取っても、一瞬での敗北は目に見えており、僅かな勝利の光さえ見えない。突破口が見つからないのだ。
レベスは暗闇を歩いている気分だった。目は何時まで経ってもその暗闇に慣れず、分かれ道はあるものの、何処へ行ってもまた元に戻ってきてしまう。
光一筋見えれば_____
目がこの暗闇に慣れれば_____
きっと何かが見えるのに。
そうは思っても、考えれば考えるほど、沼に足を取られた後みたいに沈んでいった。
クソッ。
全然駄目じゃねぇか、俺。
結局、ティルがいないとこの世界でじゃ生きてけない訳だし、まともに戦えやしない。
現に、今俺、あのピエロにボコボコにされそうだし・・・・。
勝つ方法か、んなもんあのピエロにでもならねぇ限り、対等には戦えな______
____あっ。そっか、簡単な話じゃん。
「俺、今から30秒間、ピエロになります」
白煙の中でその声は、拡声器を通しているかのように、広く、静かに、大きく響いた。まるで、誰もがその声を聞こうとするかのように。
「それはまた、無謀な作戦を考え付いたものだ。だが、面白い。その作戦、乗ろう。」
「そうしてくれると有り難い。」
レベスはもう入り始めているようだ。心無しか、ぼんやりとクラウンの姿がレベスの背後に見えた。
* * *
昔から、俺は人の真似をするのが得意だった。
何故かと言われてもよくわからないが多分、それは俺が人見知りだった所為かもしれない。
人一倍視線や、個人個人の行動には敏感で、常に相手の反応を伺っていた。そして、それらを元に、次はどういう行動をするのか予想し、相手がその通りの動きをすると、嬉しくなって、それが俺の遊びになった。
そして、いつしかそれは、ある特定の人物に対する軽い未来予知へと、進化した。
言い忘れてたけど、俺はぼっちじゃなかったからな!!!
* * *
「先ずは一振りッ!」
レベスはクラウンを試すように、わざとらしく首を狙って刀を振った。
「どうしたんだい?ヤケにでもなったか?」
勿論クラウンに当たるはずもなく、それどころか、クラウンは当たるか当たらないかのスレスレの位置で、最小限の動きをして避けた。
「次ッ!」
次に、レベスはクラウンの足元を狙い、刀を振るう。そして、クラウンはそれを、綺麗なバク宙で避ける。
「次ッ!!」
レベスはクラウンの胴を狙い刀を振るった。すると、クラウンは、これまた刀の当たるか当たらないかのギリギリで体を大きく仰け反り、避けた。
この時、残り25秒だ。
そしてレベスは、これらと同じことを何度も繰り返した。それに、クラウンが不審に思わないわけがない。
「何を仕掛けるつもりかい、騎士くん?」
「さぁ、何でしょう?」
「まぁいいさ」
だが、クラウンは敢えてそれら全てに乗った。一度乗ると言ってしまったということもあるのだろうが、純粋に、楽しみたいのだろう。レベスの織り成す演目を。それに、クラウンはすでにレベスの作戦の一部を知っているのだ。と言っても、すでにそれは未知の世界に入っているが。
「よし、下準備は整った。それではこれより、残り20秒となりますが、このレベスの演目、どうぞお楽しみ下さい。」
そう言ってレベスはあたかもシルクハットがそこにあるかのように、右手を頭の上へ持って行き、その後、その手を左肩まで持って行くと、優雅にお辞儀をした。
あの避け方とか、自分から攻撃してこないところを見ると、恐らく、クラウンは魅せる対戦をしている。隙をつくならそこしかないだろうな。わざわざバク宙とかしやがって、ほんっと憎たらしい!!!
優雅なお辞儀をしている際、レベスは苛つきながらも冷静にクラウンを分析し、クラウンを完成させた。
「「「「「な・・・何だ?!」」」」」
観戦客はレベスのその行動に動揺し、レベスの姿がクラウンに見え、フィールドにはクラウンが2人いると錯覚したため、目を擦った。だが、その光景が覆ることはなく、何度目を擦っても、クラウンが2人いるようにしか見えなかった。
「まずは一撃。」
レベスはクラウンの首を狙う。勿論、先程と同じように躱されるが、レベスの想定内だ。そして、足下、胴、と2回繰り返した後、そのまま足下を狙い、クラウンがバク宙をして避けるのを見ると、足が地面につく前に首を狙いにいった。
何度も、何度も、首、足下、胴、と攻撃を繰り返してきたレベスの攻撃が、いきなりパターンを変えてきたのだ。クラウンは少し動揺した。だがそれだけである。特に支障はない。
その後はパターンを変えて、レベスは何度も攻撃した。
これだけで、もう残りは5秒だ。
「さぁ、終わりだ。」
レベスは自信満々でそう言うと、クラウンの足下を攻撃し、くるっと回ると、横方向の剣戟ではなく、初めて、縦に_____上から下へと振りかぶった。
これには流石のクラウンもぎょっとし、足ではなく、手を地面につけ、もう一回転しようとした。だが、これを狙っていたとでも言うように、ニヤリと笑う。それはもう、紛れもなく狩る側の目だった。そして、レベスは、クラウンの急所に刀を当て、勝利を掴もうとした。だが_______
ポンッ。
残りは0秒。つまり____
____時間切れだ。
その軽快な音とともにレベスは木になってしまった。そして、それは同時にレベスの敗北を意味するモノだった。
「レベス選手、戦闘不能・・・ですね。ということで、勝者クラウン!!!やはり強かった!!!!」
「「「「「ワァァァァァァァァァ!!!!!!」」」」」
レベスの姿に戸惑いながらも、そう判断がくだされた。
「まぁ、当然の結果だ。どんなに君が頑張ったとしても、それは覆らない。何故なら、君にこう言ったはずだからね。その作戦に“乗ろう”と。でも1つだけ礼を言おう。」
クラウンは仮面を少しだけずらし、わざとらしく口元の笑みを見せつけ、言う。
「このピエロの演目を盛り上げてくれたこと、感謝する。観戦客も大盛り上がりのようだ。」
壁は、とてつもなく高かった。




