第9話 「尾田さん知ってんのかな、リアルな海賊」
甲板で、ハッサンが葉っぱを噛んでいた。
そんなにうまいか?俺も葉っぱをもらって噛む。うーーーーん、わからん。
ハッサンは、俺の隣に座ってきた。暇なのか、何か話しかけてきた。わけわからん。とりあえず愛想笑いしとくか。
あ、なんか、ちょっとテンション上がってきた気がする。葉っぱか。ずっと噛み続けてないとダメなのね、これ。
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上がったテンションの勢いで、聞いてみることにした。
「マネー」と俺は言った。「誰がもらうの」
ハッサンが「マネー!」と言った。わかったらしかった。俺のリュックを指差した。スケッチブックのことらしかった。
渡した。
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ハッサンが鉛筆を持った。ためらいなく描き始めた。
まず大きな丸。それから下に小さな丸をいくつか。矢印を引いた。大きな丸を指差して、「ボス」と言った。小さな丸を指差して、「マネー、スモール」と言った。
なるほど。ボスがでかい分をもらって、あとはみんなで分ける感じか。
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「さっきの人は?」と俺は言って、背が高い・スーツのジェスチャーをした。
ハッサンが「アブディ」と言った。
アブディ。名前か。
なんか、名前までかっこいいな、アブディ。
ハッサンがスケッチブックに棒人間を描いた。背が高くて、なぜか細長いスーツみたいな線が入っていた。それを指差して「アブディ、マネー、ビッグ」と言った。それから何か言った。うろ覚えっぽかった。
それはそうか。
「ハッサンは?」
ハッサンが自分の棒人間を描いた。小さかった。「リトル マネー……」と言って、苦笑いをした。
小さいらしかった。とりあえず慰めておこう。「ハッサン、ドンマーイ、ドンマーイ」。
不思議そうな顔で見てくる。これ通じてないな。ドンマイ、日本語なのか。
「ミー?」と俺は言って、自分を指差した。
ハッサンが自分の棒人間の隣に、もうちょっと小さい棒人間を描いた。それを指差して、「ユー」と言った。
ハッサンより小さいらしかった。
うーん、ドンマイ、俺。
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ハッサンが何か言った。不満そうでもなかった。そういうもんだ、という感じだった。
スケッチブックを返してもらった。棒人間の組織図が残っていた。
なるほどね、そういうもんか。おもしろいな。
海賊って言っても、結構、会社みたいな感じだな。思ってたより夢がない。
でもまあ、稼げるならいっか。六百万、一年で貯まるかなぁ。
尾田さん知ってんのかな、リアルな海賊。




