第8話 「ネゴシエイター。なんか、カッコいいな。」
甲板の空気が、変わった。
誰が言ったわけでもないのに、みんなが同じ方向を向いていた。
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ボートが来た。船べりに縄梯子が降りた。男が一人、乗り移ってきた。
背が高い。がっしりしている。肌が黒い。ヒゲが濃い。なぜかスーツを着ている。縄梯子を上りながら何か叫んでいた。笑いながら。
周りが誰も笑っていないのに、こいつだけ笑っていた。
なんかちぐはぐだな。
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ハッサンたちが迎えに行った。握手した。笑いながら何か話していた。
ハッサンが笑っていた。
さっきまで険しい顔をしていたのに。
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男は船内に入っていった。
俺もふらっと後をついた。
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部屋のドアが開いた。男が入っていった。俺もなんとなく入った。誰も止めなかった。
中に人がいた。こっちとは違う雰囲気の男たちだった。船長室、みたいなところだろうか。なんか、絨毯フカフカするし高そうだなぁ。
みんな、腕を組んでいた。緊張しているのか、警戒しているのか。
あ、マサノリもいた。ウィンクしてみた。無視するなし。
男が大きな声で何か言った。笑いながら。
最初、誰も反応しなかった。
それから、誰かが少し笑った。それから、もう一人。
なんか、さっきまでの空気じゃなくなった。
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しばらく経って、男が部屋を出た。俺もつられて出た。
廊下で男が立ち止まった。ドアを背にした。
さっきと顔が違った。笑っていない。静かな目をしていた。何かを考えているみたいだった。
しばらくして、また歩き出した。
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ハッサンに聞いた。あの人、誰。
ハッサンが何か言った。よくわからなかった。でも途中で聞き取れた単語があった。
ネゴシエイター。
映画で見たやつだ。交渉人じゃないか。おー、こんなところにいたのか、真下正義。
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ネゴシエイター。なんか、カッコいいな。




