↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漁業補助スタッフ(ソマリア) 〜借金から逃げたら、海賊だった〜  作者: 華雪β


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/25

第5話 「サンキュー尾田さん」

二日目も、やることがなかった。


甲板に出て、海を見た。飽きた。船内に入って、壁を見た。飽きた。甲板に戻った。


周りを見ると、みんな緑の葉っぱを噛んでいた。ぼーっとしながら噛んでいた。楽しそうだった。


なんだあれ。


---


誰かに葉っぱを渡された。試しに、自分も噛んでみた。うーん、青っぽい感じ。よくわからん。楽しいかこれ?そっと吐き出した。


---


リュックからスケッチブックを出した。


持ってきて良かった。特に理由はなかった。なんとなく、あったほうがいいかと思って入れてきた。


鉛筆を持って、海を描いた。水平線。波。遠くに見える船。


---


ハッサンが覗き込んできた。スケッチブックを指差して、首をかしげた。


「えっと……スケッチング?」


ハッサンはわかったのかわからないのか、ソマリア語で何か言った。三人くらいが集まってきた。全員、スケッチブックを覗き込んでいた。


暇なんだな、こいつら。


---


なんか、見られてる。


居心地が悪いかと思ったけど、そうでもなかった。


「グッド」と誰かが言った。


「サンキュー」


---


ハッサンが自分を指差した。それからスケッチブックを指差した。


俺を描け、ってこと?


ハッサンが笑いながら頷いた。そういうことらしかった。


まあ、いいか。


---


ハッサンの似顔絵を描いた。


ただの似顔絵じゃつまらないので、ワンピースのキャラ風にアレンジした。ゾロっぽく。目つきを鋭くして、筋肉を盛って。


(ドラクエのキャラは海外じゃ通じない気がするからな、配慮できてる俺すげぇ)


ハッサンに見せた。


しばらく沈黙があった。


それから爆笑した。


ソマリア語で何か叫んで、仲間を全員呼んだ。


---


全員が集まってきた。


スケッチブックを回し見して、全員爆笑していた。ハッサンが何か言うたびに、また笑いが起きた。


何を言っているのかわからなかった。でも、笑ってるのはわかった。


---


「ネクスト、ネクスト」と誰かが自分を指差しながら言った。


俺も描け、ということらしかった。


その夜は、ずっと似顔絵を描いていた。ウケたよワンピース、サンキュー尾田さん。


そういえば、この船全然動いていないな。大丈夫か、こんなに船員たち遊んでるけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。