第24話 「ステイ」
次、どうしよう。
マジで次、どうしよう。
ぼんやり港を見ていた。船が出ていった。また別の船が入ってきた。それだけだった。
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日本に帰る、という選択肢がある。
でも、何するんだろう。バイトに戻る?バイト先、もうないか。
じゃあ、どこかに就職する?何で?スーツ着て電車乗って、それで何するんだろう。
全部、ピンと来なかった。
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友達に連絡してみようかと思った。
でも、なんて言う?「ソマリアで海賊の交渉やってた」って?
笑われるか、信じてもらえないか、そのどっちかだろう。
いや、でも、アブディのことは言えない。言わない方がいい。
ぐるぐると考えた。答えが出なかった。
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ハッサンがそこを通りかかった。
「タク、どうした」というジェスチャーをしてきた。
「次、どうしようか考えてる」と言った。
ハッサンが何か言った。よくわからなかった。でも、笑っていた。
そのまま行ってしまった。一回だけ振り返って、手を上げた。それで行ってしまった。何だったんだ?
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アミナが来た。
隣に座った。
「ネクスト ジョブ?」とアミナが聞いた。
「わからん」と俺は言った。
アミナがうなずいた。
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しばらく二人で港を見ていた。
「ジャパン?」とアミナが聞いた。
「うーん」と俺は言った。「ノー アイデア」
アミナが考えてから、ゆっくり言った。
聞き取れた。「ここに住めばいい」ということだった。
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「ヒア?」と俺は言った。
アミナがうなずいた。
「ウィ アー ファミリー。オールレディ」
もう家族みたいなもんでしょ、ということらしかった。
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まあ、そうかもしれない。
ハッサンは兄みたいな感じだし。アミナは……なんだろう。よくわからない。でも、いなくなったら困る気がする。
「アイム ブラザー?」と俺は聞いた。
アミナが少し笑った。
「メイビー」と言った。
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エイルの、どこが良かったんだろう、と考えた。
飯は旨い。虫は多い。言葉はわからない。不便なことだらけだ。
でも、居心地が悪いかといったら、そんなことはなかった。
日本に帰ったら、ここは遠くなる。そう思ったら、なんか嫌だった。
電車と、スーツと、同じ道。別に嫌いじゃない。
でも、それが続く未来を思い浮かべようとしたら、なんか、輪郭がぼやけた。
エイルで、アミナとハッサンと暮らす、それもいいかも、と思った。
「オーケー」と俺は言った。
アミナが「グッド」と言った。それから、また港の方を向いた。
船が出ていった。海が、やけに青かった。




