第22話 「スター」
朝、甲板で目が覚めた。
空が明るかった。海が静かだった。
どこかで鳥が鳴いていた。
ハッサンがすでに起きていた。何か食べていた。また缶詰だった。
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ハッサンにジェスチャーをした。
食べ物。缶詰。旨くない。エイル。持ってくる。
ハッサンが首を傾げた。
もう一回やった。
ハッサンがしばらく見ていた。それから声に出して何か言った。
しばらくして、笑った。
何かわかったみたいだった。
ハッサンが誰かに話しかけた。男が去っていった。
何かを手配しているらしかった。
俺は何もしなかった。ただ待った。
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翌朝、小さいボートが来た。
エイルから来ていた。積んでいるものがあった。
アミナの料理だった。たぶん。匂いでわかった。
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船長のところに持っていった。
「ランチ」と俺は言った。
船長が見た。俺も座った。食べ始めた。
仕方ない、という感じで船長も食べた。
旨かった。缶詰じゃなかった。
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さあ、身代金交渉の続きだ。
食べながら、ノートを出した。
数字を書いた。昨日よりちょっと上げた。
船長が見た。
俺はペンを差し出さなかった。
「ウェイト。モア テン デイズ。アンド モア。イズ オーケー?」
と言った。言えたかどうかは、よくわからなかった。でも出た。
急がない、こっちは。ということだ。
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船長がしばらく食べていた。
何も言わなかった。
それから、ため息をついた。
ペンを取った。
書いてきた数字を見た。
まだ少なかった。
俺はうなずかなかった。
また食べた。
船長が何か言った。俺を見た。俺も見た。ここはあえての無表情。これが交渉ってやつだ。黙って、また一口食べた。
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もう一回、船長がため息をついた。
また書いた。
今度は、まあ、いいかなと思った。
「オーケー」と俺は言った。
ハッサンが何か言った。船長も言い返した。
後はハッサンに任せた。
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帰りの船で、なんか呆然とした。
終わった。本当に終わった。
ネクタイを外した。ジャケットを脱いだ。海風が当たった。
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エイルの港に着いたら、人が集まっていた。
最初は何人かだった。どんどん増えた。
アミナがいた。大声で叫んでいた。ハッサンの名前と、俺の名前が聞こえた気がした。
子供たちが走ってきた。ハッサンに飛びついた。ハッサンが子供を抱き上げて笑っていた。
太鼓みたいな音が聞こえてきた。笛みたいな音も。なんか演歌みたいな節回しだった。もうこれは祭りみたいだ。
誰かが踊り出した。
えっ、踊るの。
アミナが近づいてきた。笑っていた。歯が白かった。
二人で少し踊った。途中、アミナの足を踏んでしまい、腕をつねられた。いや、それマジで痛いんだが。
誰かが食べ物を渡してきた。よくわからなかったけど、食べた。スパイシーでワイルドな味だった。
なんていうか、よかった。
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夜、騒ぎが落ち着いてから、アミナと外を歩いた。
星が出ていた。多かった。
「スター」と俺は言った。
アミナが上を向いた。うなずいた。それから何か言った。わからなかった。
しばらく二人で見ていた。
「グッド ジョブ」とアミナが言った。
「まあね」と俺は言った。
気づいたら、目が合っていた。
少し、そのままだった。




