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漁業補助スタッフ(ソマリア) 〜借金から逃げたら、海賊だった〜  作者: 華雪β


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第19話 「タク、ゴー」

アミナの授業は毎日続いた。


今日はディールだった。


「ディール」と俺は言った。


「グッド。ネクスト」


プロポーザル、また来た。


---


ハッサンが入ってきた。


いつもと顔が違った。


アミナと何か話し始めた。声が低かった。


俺はなんとなく、聞こえないふりをした。


---


ハッサンが手招きした。俺に向かって。


アミナがため息をついてから、ついてきた。


---


ついていくと、家の前まで来た。ここはそうだ。スパゲッティを手で食った家だ。


玄関の靴の山は相変わらずだった。


でも中の空気が違った。男が何人か集まって、何かを言い合っていた。笑い声はなかった。


---


ハッサンが俺の隣に座った。


「アブディ、デッド」


え。


俺はハッサンを見た。ハッサンは前を向いていた。


アブディが死んだ。あの、アブディが。マジで?


肩を叩いて「タク、グッジョブ」って言ってくれた人だ。ホント、なんで?


周りの人の死なんて、小学校の頃のおじいちゃんの葬式以来だ。まったく現実感がない。


手が、なんか冷たかった。いつの間にか、握っていたらしかった。開いてみたら、何もなかった。


---


議論は続いていた。


誰かが怒鳴った。誰かが言い返した。


部屋に熱がこもっていた。


突然だったもんな。


---


なんか、急に視線が増えてきた気がした。


俺の方向に。


え、なんで。俺、何かしたっけ。


ハッサンが何か言った。男たちが何か言い返した。


あれ。


なんか俺の話になってる?なってるの?


---


アミナが立ち上がった。


ハッサンに向かって何かを言い始めた。俺の方を指差しながら言っていた。反対、って感じだった。


ハッサンも言い返した。別の男も言い返した。


アミナが言い続けた。


俺はただ座っていた。


---


誰かが紙を出した。数字が書いてあった。


アミナが見た。


黙った。


それから笑い出した。


声に出して笑っていた。


「なんで笑ってんの?」


アミナが俺を見た。まだ笑いながら、何か言った。


「行ってこい、ってこと?」


アミナがうなずいた。


「タク、ゴー」


ゴーすんの?俺?マジのマジ?


---


アミナが紙をこっちに渡した。


ゼロが多かった。


え、これが報酬ってこと?やばい、なんか、足が震えてきた。

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