第13話 「この人はピッコロさんだな」
食事の後、ハッサンが歩き出した。ついてこい、みたいな感じだった。
路地を曲がって、ドアの前で止まった。ガチャガチャとノブを回した。開けた。
中から声がした。誰かいた。おじさんっぽい人と、おばさんっぽい人。ハッサンの親か誰かだろうか。
「ココ、ハッサン ハウス?」
ハッサンが何か言いながら中に入っていった。親っぽい人たちが俺を見た。俺も見た。
なんか、ハッサンが説明している。こいつを泊める、みたいな感じだろうか。
おばさんが何か言って、奥の部屋を指差した。
そこに毛布が一枚あった。
俺をここに泊めてくれるのか。ありがたい。
「サンキュー」
ハッサンの家族に向かってお辞儀した。
不思議な顔をしている。あ、これも通じてないな。日本独特の文化ってやつか。むー。
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市場に連れてこられた。
香辛料の匂いがした。スパイスというか、なんか複雑な匂い。嫌いじゃない。
ロバが荷物を積んでトコトコ歩いていた。
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ハッサンが屋台の前で止まった。主人と何か話し始めた。
俺はその横に立っていた。
また立っていた。
屋台の主人が荷物を指差した。持てということらしかった。
持った。重かった。
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いくつか屋台を回った。荷物を持ったり、袋に詰めたり、突っ立ったりした。
だいぶロバの気持ちがわかってきたぞ。うーむ、重いのだが。
「チャイナ!」と言われた。
もういっか。「シェーシェー」
笑われた。
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昼過ぎに、ノートを売っている屋台を見つけた。
罫線入りだった。スケッチブックとはちょっとちがうけど、まあいいか。
いくら、と聞いた。指で数字を出してきた。財布から出して渡した。
おつりが飛んできた。
投げてくれなくていいけど。
ここらへん、異文化って感じだなぁ。
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ノートを持って、また市場を歩いた。
屋台に座っているおじさんの顔を描いてみた。せっかくだから、ドラゴンボール風にアレンジした。髪を逆立てて、筋肉を盛って、オーラをつけた。超サイヤ人だ。
渡したら、すごく喜んでくれた。周りの人を呼んで見せていた。
隣の屋台のおじさんが「俺も」という感じで身を乗り出してきた。描いた。この人はピッコロさんだな。
渡してみた。怪訝そうな顔をしている。それはそうか。
次の屋台の人も。その次も。
やっぱ、絵がいちばん早い。
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気づいたら夕方になっていた。
ノートはだいぶ埋まっていた。
帰り際、誰かがスイカをくれた。
スイカを食べながら、計算した。60万もらった。あと540万。
次の仕事、いつ来るんだろう。




