16. 身代わり姫と複雑王子 ー風雅の国ー のつくり方
Caitaの〝みんなの・うちの子の作り方〟というアンソロジーに寄稿した創作論の前編となります。
身代わり姫と複雑王子 ー風雅の国ー のつくり方。
①作品を書く時は、物語から?人物から?
物語 ○─○─★─○─○ 人物
割と同時に立ち上がってくるので真ん中にしています。
②キャラクターを作る時は、設定から考える?書きたいシーンから考える?
設定 ○─○─○─○─★ シーン
書きたい場面が、各部で必ずひとつかふたつ明確にあり、そこから前後をまとめていきます。
③キャラクターを深掘りする時は、その人の過去から考える?現在から考える?
過去から ○─○─○─★─○ 現在から
現在のその人が、どうしてそうなったのか、というところから、その人の過去を深掘りしていきます。
④キャラクターは作者が動かす?キャラが動く?
作者が動かす ○─○─○─★─○ キャラが動く
キャラの性格設定をある程度していくと、その場面にいるそのキャラがどう動くか、このキャラはこういうことはしない、こうする、という方向に進みます。
⑤キャラクターの立ち方は、単体で立つ?関係性で立つ?
単体で立つ ○─○─○─★─○ 関係性で立つ
単体でも立てる人たちの集まりですが、誰かと誰かが喋っていると、その関係性でお互いが更に立ってくるということが多くあり、その連続とも言えます。
◆代表キャラクターから見る、私のキャラクター作り
【キャラクター名:薫】
まずは主人公・薫について。
* どんなキャラクター?:主人公。十六歳女子。大きな目、顎のラインで切りそろえたボブカット。突然いなくなった玲を探して、風雅の国に落ちてきた。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:明るく活発で前向き、少し男の子っぽい側面があり、短気なところが玉にキズ。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:素直さと真面目さ。それが災いして弱気になる時もある。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:薫については作者の妹的な存在で書きやすく、今のところ特に苦労はないです。
【キャラクター名:玲】
次は裏主人公の玲について。
* どんなキャラクター?:十七歳男子。どこか神秘的な雰囲気を持つ、風雅の国の神官。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:一見クールで物静かだが、時に熱い側面がある。それは彼の過去に由来するというのは、後に彼の父・龍樹が爆発的に生まれたことで肉付けされました。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:優しさとこじらせ。裏に潜む苛烈さ。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:玲の考え方は作者に少し近いところがあるため、こちらもあまり苦労したことはないです。
【キャラクター名:速水】
三番目は、第三話で登場する速水について。
* どんなキャラクター?:風雅の国で薫が出会った少年。素直で癒やし系の十四歳。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:仔犬のイメージ。薫を安心させる役。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:素直さ、純粋さ。誰にでもなつき、安心させる。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:特に無いですが、第一部中盤以降での速水の状況と、その後、玲と薫との対話の場面までは、こういう展開になることで読者に作品が嫌われなければいいが……と思いながら書いていました。実際どうなのか感想をもらったことがないので、まだ作者にもわかっていないところですが……。
【キャラクター名:翡翠】
四番目は、姫将軍・翡翠について。
* どんなキャラクター?:風雅の国、東軍の姫将軍。癒しの光 (=治癒の光)と呼ばれるヒーリング能力を持つ。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:姫なので、凜としていて気高く上品。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:翡翠の動じないところと胆力、実は裏に潜んでいる精神の強靱さが魅力だと思っています。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:あまりないのですが、敵将の西羅と同様、この人もまだまだ深掘りできると思っています。
【キャラクター名:夏野】
五番目は、第四部の主役となっている夏野について。
* どんなキャラクター?:風雅の国の参謀兼医師見習いで玲の親友。杖をついている。十七歳。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:冷静な性格。玲を庇って足を負傷した過去がある。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:沈着冷静で非常に賢い。玲を茶化すのが好きだが、内心玲に対する大変深い愛情がある。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:賢いと設定している故に、夏野の一人称はかなり難しいです。
【キャラクター名:滝】
六番目は、滝について。
* どんなキャラクター?:風雅の国の軍No.2 剣士。十六歳の熱血漢。姫将軍・翡翠を信奉している。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:熱血で一本気、豪胆。ムードメーカー。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:滝の熱さは魅力だと思って書いています。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:特に無いです。その真っ直ぐな性格から、いちばん物語を進めてくれる人です。作者的に、困ったときの滝頼みとも言えます。
【キャラクター名:龍樹】
そして、龍樹について。
* どんなキャラクター?:玲の父で薬師。四十歳。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:軽妙さと洒脱さ、深い傷。この人が爆発的に誕生したことで、第一部の骨格が整い、風雅の国シリーズを書き始めることができたと言ってもいい、物語の背骨となる人。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:軽さと明るさ、無意識の優しさ、内面の暗さとトラウマに基づく悔恨。そのすべてが龍樹の魅力だと思って書いています。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:この人は作者の架空の弟的な立ち位置なので、あまり苦労はないです。
【キャラクター名:西羅】
そして、西羅について。
* どんなキャラクター?:西軍の将で呪術師。
* このキャラクターを作るとき、大切にした個性は?:寡黙で豪胆、実は心の最も奥に脆い面を隠す。
* 「ここが魅力!」と思って描いたポイントは?:皮肉っぽいところは西羅の魅力だと思っています。
* 逆に、描くときに苦労したところは?:全体的に苦労している。西羅を書くのはいちばん難しく、反面、それ故に深掘りもまだまだたくさんできると思っています。
【風雅の国は、どうやって生まれた?】
* 物語が先? キャラクターが先?:
薫は玲を追って異世界転移する。そして行方不明の翡翠姫と薫はうり二つ。最初に薫が速水という少年と出会う序盤、そして第一部後半の玲の危機、それと同時に薫と玲のビジュアルが最初に浮かんで書き始めました。物語と主役の二人+翡翠姫は最初から同時発生的に生まれた感じです。
* 最初に思いついたのは何?:
薫と玲の見た目と、先に挙げた主な性格、序盤と転に当たる部分の玲の危機と速水の台詞、第一話~第三話までの場面。そして、玲になぜか知らないふりをされるという謎の行動を受けて、薫がそれに立ち向かうところまでは高校二年の時に考えていました。
薫と玲の両思い的彼氏彼女関係については、書き始める前に最初に頭に浮かんでいて、もうひとつ、夏野が自分の足のことを玲の危機の直後に本人に言う場面は、構想した最初の頃から浮かんでいました。
* 最初のアイデアから、どんなふうにキャラクターを固めていった?:
薫という明るく真面目で少し短気な主人公。
そして玲という優しく謎めいたところがある彼氏(それは彼が自分の出自を薫に秘密にしているからもある)。
彼氏が消えて、クロゼットの渦から薫は異世界転移する。
そこまで考えたときに、薫が最初に出会う異世界人は、たった一人で飛び込んで不安な薫を安心させる必要がある、というところから、薫より少し年下の少年・速水が生まれました。
次に風雅の国で、玲の周りにいる彼の友達、夏野と滝が生まれました。
一人は冷静な参謀役、一人は肉体派、という感じで。
おそらく彼らを考える前の年に見ていた〝独眼竜政宗〟に出てくる政宗と小十郎と成実という三人がうっすら頭に残っていたのかもしれないと、今振り返っていて初めて気付きました。
翡翠と西羅の関係については、当初からそこもうっすら考えていて、西羅については三国志の曹操的なイメージで考えていました。
* このキャラクターは、一人でも成立する? 誰かとの関係の中で成立する?:
基本的に、どの人も一人で成立するキャラクターだと思っていますが、関係性の中で喋らせているとお互いが非常に立ち上がってくる人たち。
作者的に解像度がまだまだと思っているのは敵将・西羅。この人はまだ深く分析できると思っています。
パート2に続きます。




