15. バッドエンドを書いてみる
私の小説は、途中に不穏をちりばめたとしても、最終的にはほとんどハッピーエンドとなることが多い。一度バッドエンド風味でと思って書いた一作についても、希望しかないと感想をいただいたほどだ。
数日前、絶望をテーマとしたアンソロジーを作ります、というお話をSNSで拝見した。
そこで、私は〝絶望〟を主題とした短編を書けるだろうかと、少し考えてみた。
概要を拝見したところ、今回のアンソロジーは使用するキャラクターがあらかじめ二人決められており、そのキャラたちの設定に合わせて、作者ごとの切り口で絶望を描くというものだった。
キャラクタービジュアルも提示されていて、これはビジュアルからキャラたちの性格を想像して会話させるという私の書き方的に、非常に書きやすい気がした。
そしてすでに寄稿されている一作目を拝読したところ大変面白く、いくつか疑問点を質問して、執筆に取り組むことにした。
バッドエンドに再チャレンジだ。
指定のキャラは明るい感じの男子と、おとなしめな雰囲気の女子。書きやすいのは女子視点かな。
絶望しかないラスト……さて、どうしよう。
うっすら頭の隅でそう考えながら、私は先日から眺めているCaitaイラスト連携のページを眺めはじめた。
前回、〝翡翠の街でスローライフ ー山羊農家の朔夜と薬師の龍樹ー〟の新作で使わせていただいた〝朝焼けのクジラ〟の隣にあった〝夜に咲く蝶〟という絵も想像力を喚起させられて、とても良かったのだよなあ。
そこに描かれていた少女は、白い羽衣のようなドレスを身に纏っている。
夜の森の中のような幻想的な風景の中、淡い緑に光るカンテラを手に持ち、妖しくも優しくも見える微笑で振り返っている少女。そして、彼女の周りには青い花が咲き乱れ、無数の蝶々が舞い踊る。
それはどちらかと言うと、朔夜シリーズに少し登場している神官の奏、私の中にある、彼女の少女時代のイメージに近いと、最初は思っていたけれど。
この絵から想起されたイメージを、アンソロジーの指定キャラを使った話に、モチーフとして使うことはできないだろうか?
そう思い付いたとき、私の頭の中でプロット作りが始まった。
まず、インターネットで世界の大きな蝶を調べてみる。
ヘレナ・モルファという青い大きな蝶が、世界三大蝶々のひとつとしてヒットした。なるほど、このイメージも膨らませよう。
イラストは一人の少女とともに、夜に花のように咲く蝶が描かれている。ヘレナ・モルファは青い蝶。
夜と少女、そして青い蝶。
別件だが、私は最近、長編で呪いをモチーフにした続編を書いている。
では蝶々に呪われ、夜のような闇の世界に囚われる少女というのはどうだろう?
冒頭は、その蝶々と少女の出会い。見た瞬間に波長が合い、蝶は少女の心に入り込む。
次に、入り込んだ後は、夢を使おう。少女の夢で、蝶の精霊のようなものがそれを伝え、少女は蝶々に呪われたと思い込む。そして成長するにつれ、蝶が魔法のように仕組んだ不幸が少女の人間関係に響き続ける。
転で、成長した少女は太陽のような少年と会う。少年は少女に惹かれ、少女は不幸の記憶が影響して少年を避けるが、果たして最後まで避けきれるのか?
簡単なプロットを作り、肉付けしながら書いていき、ラストは最初、少女が自分を犠牲にするところで終えようとしていた。しかし、死で終わることは自分の好み的に、あまり好きではない。
そこでアンソロジーの概要を見返したところ、死で終わるだけが絶望ではないということが書いてあり、そうだよね、と頷いた。
では、私は虚無の方が得意なので、そちらに寄せようかな。
そう考えて書き上げたのが、Caita絶望アンソロジーに寄稿した、〝蝶の呪い〟です。
初のバッドエンドでしたが、後にレビューいただいた方々から、健気で切なく、美しいと言っていただき、初めてにしてはよく書けたかもしれないと思っているところです♪
チャレンジ精神とイラストの持つ力、自作で使っている象徴的な出来事を転用して短編を書いた、楽しく勉強になるひとつの事例となりました。
この〝蝶の呪い〟という短編は、最初から決まったキャラクターを使用して書いたこともあり、小説家になろうには掲載せず、Caitaのみに掲載しています。URLは以下となります。
Caita絶望アンソロジーのURLはコチラ↓
https://caita.ai/series/01KV5QR4ES4ER6MECFER208072?stamp=20260620135249
〝夜に咲く蝶〟というイラストを表紙に使わせていただいた短編〝蝶の呪い〟単独のURLはコチラ↓
https://caita.ai/series/01KVARKXQ3ENFJV6N41DBCQWGJ?stamp=20260619132714




