表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハニーオレンジとアメジスト ――運命が動き出す街で  作者: じゅんき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/24

第九話 ――隠されたもの――

あの夜から、数日が過ぎた。


リンクはいつも通り依頼を受けてダンジョンに潜り、

金を稼ぎながら、ダンジョンの“ある場所”を探していた。


トリグレアが「マキマキシに帰る」と言っていた。

あの言葉が、ずっと胸に引っかかっていたからだ。


いくら街中に人が溢れていたとしても、鶏足はかなり目立つ。

それにヘルハウンドを連れているような魔物使いもいない。

最初から街ではないとしたら──


マキマキシに帰る──それは、ダンジョンのどこかにある“隠し部屋”のことなのかもしれない。


ダンジョンに、あいつの隠し部屋がある。


そう考えてから、リンクは空いた時間に地図を広げ、

不自然な空白に目を留めては、静かに考え込んだ。


ローランドとは、特に話していない。

避けているつもりはないのに、距離だけが空いていく。


街で、女性の肩を抱いて笑っている姿を見かけるたび、

リンクは反射的に足を止めてしまう。


ローランドは気づくと、いつも手を振ってきた。


「おーい、リン──」


けれどリンクはまた嫌な顔をしてしまい、

そのまま踵を返して歩き出す。


背後でローランドが動きを止めた気配がするが、

振り返らなかった。


そんな日が、何度か続いた。




今日もリンクは、依頼を受けてダンジョンに潜っていた。


10階層以降は稼ぎがいい。

それまでの階層は、人もまばらだ。

特に5階層は割に合わない迷宮品ばかりで、不人気の場所だった。


(……逆に怪しいんだよな)


深い階層を拠点にするのは現実的じゃない。

魔物も多いし、移動にも時間がかかる。


(最低でも……6階層くらいか)


5階層は人が寄りつかない。

6階層は魔物の質が上がり、動きづらい。


(……やっぱり、5階層までに“何か”あるはずだ)


リンクは当たりを付けた壁に“鑑定”をかけ、

1階層から順に、地図に載っていない空白を探していく。


1階層は比較的狭く、魔物も弱い。

弓を引けば、矢は正確に急所を射抜いた。


2階層はやや広いものの、同じように危なげなく進む。


(……ソロでも十分やれる範囲だな)


淡々と魔物を倒しながら、

地図の怪しい場所をひとつずつ消していく。


ふとした瞬間──

ローランドが女性と笑っていた姿が脳裏をよぎった。


(……あいつ、ホントに冒険者か?

遊び人の間違いなんじゃないの?)


眉をひそめる。


(関係ないだろ……僕には)


そう思うのに、胸の奥がざわつく。

矢をつがえる手に、わずかに力が入った。


(……なんでこんな気分になってんだよ、僕は)


そんな自分に、さらに腹が立つ。

魔物を倒すたび、ため息がひとつ漏れた。


ある程度まで進んだところで、リンクの足が止まる。

魔石や鉱石は袋いっぱいだ。


胸の奥のざらつきは消えないまま、

リンクは静かにダンジョンを後にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ