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アガート村防衛戦 5

「まずアリア、貴女が難易度ノーマルで誰を攻略したのかは……まあ初回プレイならアルフォンス殿下かしら? 彼、私が抜けた後の壁役ですもの」

「えーっと、あたしはシナノくんだったよ。超火力紙装甲の」

アリアの『中の人』は、なかなかに攻めていらっしゃる。

カタナという特殊な武器を得意とする東方の国からの留学生、シナノ。

とにかく攻撃力は高いが防御力は担保されていない、周回プレイをしないのなら超短期決戦向け。

「いやだってザコ戦で楽だったしシナノくんカワイイじゃない!! アリアが感謝するとそっぽ向きながら『……ああ』とか言って赤面するチョロさ!!」

そう、攻略対象のシナノはチョロい。クールな戦闘のプロフェッショナルに見せかけておいて、アリアとの外出イベントで海に行った際には水着姿のアリアに赤面するわ、個別ルートだとアリアからキスするという始末。

一応ツンデレ男子の部類なのだが、RPG部分に惹かれた男性プレイヤーからの評価が酷すぎるので割愛したい。あまりにも彼に不名誉すぎる称号だ。

ちなみに全キャラカンストさせた私のような廃プレイヤーとしては「使えなくもないが超短期決戦が有りえないのでボス戦では論外」という評価だ。

「……よくそれでクリアできたわね」

「殺られる前に殺れ、が信条なので!!」

さてはこれ、エリクサー使い切ってるな?

いくらシナノとアリアを火力偏重にしても、ダウンロードコンテンツを導入していたり、フリークエストをこなして装備を整えていれば別だが、難易度ノーマルといえどそう簡単にはクリアできない。そのぐらいには乙女ゲー段階でもRPGへのこだわりがある。

フリークエストをつまみつつ、なんとかシナノとのグッドエンドを見たのがアリアの『中の人』と、評価した方がいいのだろう。

それでも目下の危機、アガート襲撃イベントは乗り切れる……はずだ。

「とりあえずビルド――貴女が『ルミナスオース』をクリアした状態でのジョブを教えてくれるかしら?」

「メインがグラディエーター、サブがバーサーカー……だったかな?」

私は思わず天を仰いでしまった。超火力紙装甲がダブル。脳筋にも程がある。

まあアガート防衛だけなら多分帝国兵もワンパンだろう。だけどゲームのキャラクターではなく、アリアがアリアとして、自意識を持って動くことを考えると怖すぎる。

「……これは私、

防衛戦はネメシスのつもりでの立ち回りは駄目よね……」

敵となった時のエルファリアの専用ジョブ、ネメシス。

厄介な行動系のデバフを撒きながら超火力の単体魔法を放ってくるのが、敵としてのエルファリアだ。ゲーマーとしては嫌な相手である。

ただパーティーメンバーだった頃の、ダメージカット系の『鉄壁』といった防御系スキルを使ってこないだけまだ情がある。

「と、とりあえず明後日――貴女の誕生日に起こる帝国の襲撃イベントは撃退する、という方針でいいのね?」

「もちろん! あとついでにドラゴンから竜の牙を奪いたい!!」

自警団が精鋭揃いでも押し切られた理由――それが帝国側が率いたドラゴンだ。

私のステータスからすると難易度ノーマルのドラゴンなんかビンタで倒せるぐらいだが、それでもノーマルの世界の住民にとっては脅威だ。

銀等級の練度の高い冒険者のパーティーが二つ、上手く連携が取れてようやく倒せる相手。そう考えると帝国の工作部隊の本気度が伺い知れる。

「なら私はガーディアンのつもりで動くわ。ドラゴンと、その後の帝国軍の攻撃は私が全部受ける。なのでアリア――貴女は絶対に私のそばから離れないこと」

難易度ノーマルのドラゴンの攻撃を全て受けきっても、恐らく私はさっきのアリアのタックルほどのダメージは受けないだろう。もちろん帝国兵ごときの攻撃は考慮しなくてもいい。

ただ、それでも紙装甲のアリアには万が一が有りうる。

原作ゲーム同様にポジティブモンスターなアリアを――そしてアガートを、私は私の目的のため、守りきらなければならない。

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